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瞑眩と副作用

 私たちの業界には治療効果の評価をする際に非常に都合の良い言葉があります。
それは、瞑眩(めんげん)反応と言う言葉です。
これは治療後に出る一時的な身体の過剰反応とでもいうのでしょうか。
つまり鍼をした後に身体がだるくなったりすると、
 
「ああそれは瞑眩反応だよ。」
 
と言う具合に使います。

これは非常に都合のいい言葉で、これを上手に使うと鍼灸の副作用と言う概念は無くなってしまうんじゃないかなんて思います。
効くものには副作用があるというのが私の持論です。
当然漢方薬に副作用があるように鍼灸にも副作用があるでしょうし、それを全て瞑眩と言ってしまえば、鍼灸での副作用は無くなってしまいます。
治療家としては非常に便利ですが、ここでは敢えて瞑眩と副作用の違いを書いてみましょう。
是に関しては私見ですから、全てではありません。


<陽和堂的瞑眩と副作用>

1.治療後に眠くなる

これはよくある典型的な瞑眩であると私は思います。
緊張していた精神が安まるんでしょうね。


2.冷えていた手足がじんじん痺れる

これはどちらとも採れますね。
急に血行が改善してもこんな感覚が出ることがありますし、逆もあります。
冷えていた手足が暖まってくるようであったり、鈍っていた感覚が戻るようでしたら瞑眩でしょう。


3.治療後に貧血を起こす

これは個人的には刺激過多による副作用でしょう。
刺激量が多すぎるとこの現象が起きます。
再び横になり足三里などに鍼をすると回復します。


4.肩が余計に凝ってくる

局所に繰り返し鍼をするとこういう現象が起こります。
繰り返し強刺激で揉んだときの按摩肩に似ています。
これには異論もあるでしょうが、やはり基本は治療後はすっきりするのが良いのではないかと思います。


5.身体がだるくなる

これが一番多く、判断が一番難しい症状です。
この場合、しばらく(1〜2時間)は横になって休んで、さらに休息が必要なら刺激過多か治療の失敗です。


6.治療後暫くしてから息が苦しい

もし治療中に背中や肩の近くに鍼をして強い痛みがあり、暫く立って急激に呼吸困難があれば、先ず真っ先に頭に浮かぶのは気胸ですね。
つまり深く鍼をしすぎて、肺の周りにある胸膜に穴を開けたんですね。
これは医療過誤ですから、しかるべき手段で治療院に訴えて下さい。
普通、鍼灸院に限らず治療所では医療事故に備えて、賠償責任保険に加入していますから、この場合全額医療費はかかりません。(当たり前ですが)
その上で慰謝料を請求して下さい。
いつもかかっている治療院だからと言って遠慮は要りません。
賠償責任保険に加入していない場合は治療者の自己負担ですが、保険加入は治療家のモラルの問題ですから、そういう治療家を無くすためにもきっちり請求しましょう。


7.症状がひどくなる

これは非常に微妙な問題ですから、治療した人間に対して納得のいく説明をしてもらって下さい。
その時には

 ・いつからどういう風に悪化したのか
 ・今はどういう状態か
 ・治療後どのように生活(行動)したのか

などについて説明した方が治療家の的確な説明に繋がります。


8.風邪の治療後熱が上がる

風邪の初期の治療では発汗法という治療法で治療します。
これは少し発熱させて発汗させることで風邪を治す治療法ですが、これはあくまで初期の風邪に対する治療法ですから、この時期を外してこの治療法で治療すると、当然副作用が出ます。
発熱が副作用かどうかは、発汗後(発熱後)に熱が下がるかどうかで確認してください。
2日も3日も熱が上がるようなら少し心配ですね。
ただしインフルエンザや麻疹などのウイルス性のものは熱が続くこともありますが、治療後に急激に上がるようなら担当した鍼灸師に問い合わせてください。
40℃以上になったら小児科か救急で病院に行きましょう。

まだまだあるでしょうが、瞑眩という一言だけで片づけずに、治療家から納得のいく説明(謝罪ではなくあくまでも説明です)を聞いた上で判断する必要があるでしょう。
これは自分に対する戒めでもありますね。