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患者A

 私は手品師や魔法使い、超能力者ではないですし、そんなに特殊な能力で治療しているわけではありません。
どうして最初にこんなことを書くかというと、患者さんの中には私たちは治療が出来て当たり前で、治療に行くとパッと治ると思っている人が結構いるようで、自分のことはさておき要求だけはすごい人がいます。
こういう人に限って自己管理は出来ず何でも人のせいにする。
こういう人に育てられた子供は被害者ですね。
と言ってもその人にも親がいる訳ですから、その人も被害者と言えば被害者ですが...。
これはそんなプリティ患者の一人です。

 患者さんは30代前半の女性で、4〜5歳の男の子を連れて来院していました。
見るからに体の悪そうな女性です。
顔色はくすんで黒く、ひょろっとして背が高く猫背。
肌に張りが無くていつも少し笑ってる。
連れてくる子供は見るからに神経質そうで、治療所に来ても人の顔色ばかり見てる。
この患者は腰痛で来ていたのですが、治療してもその場では良くなるが直ぐに悪化する。
ある日その患者がぎっくり腰で来院した。
当時勤めていた整骨院ではぎっくり腰には絶対の自信を持っていたため、問題なく治療し楽になったと言うことで帰宅させた。

 その日同僚と昼食に出かけると、近所のパチンコ屋から小さい子供が飛び出してきた。
そうぎっくり腰の女性の子供である。
それに続いて出て来る女性はニコニコしている。

そこで翌日

私 「どうですか?」

患者「やっぱり痛いですね。」

私 「家でちゃんと休んでますか?」

患者「はい。休んでるんですけどねぇ。」

私 「でも昨日A先生と昼ご飯行くとき子供連れでパチンコ屋から出てくるの見ましたよ。」

患者さんはいつも通り笑っていました。
...ちょっと引きつって。
治療しているとどうしてもこっちの気持ちが先行してしまうことが多いですよね。
まぁその人はパチンコすることで心身のバランスを保ってたんでしょうが、子供は幼稚園の制服着たままでしたし、あんな空気の悪いところで自分がストレス解消している間、子供にはストレスを与え続けていた訳ですから、当時まだ若かった私はなんともやるせない気持ちでした。
しかも子供は疳の虫が騒ぐということで、小児ばりまでしていましたからとんでもない話です。