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骨盤底筋のお話

 出産を終えた方や既に閉経を終えた方だけでなく、
案外多くの方に関係のある骨盤底筋のお話です。
知らないだけであなたも骨盤底筋が弱っているかも?
みんなが案外知らない骨盤底筋のお話を書いていきます。

1.骨盤底筋とは?

 骨盤底筋とは主に3つの層から作られますが、
あまり詳しくは書きません。
知っておいて欲しいのは、
「骨盤底筋は骨盤の底で日々頑張っているんだ!」ということと、
知らない内に弱っているんだということ。

 骨盤底筋は骨盤の底で膜のように広がっており、
下側から骨盤内臓器を支えています。
そのため骨盤底筋が弱ってくると、
内臓が下に下がってしまいます。
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<画像では上が背骨側:骨盤を上から見た図>

 また骨盤底筋には女性には3つの穴が空いています。、
それぞれ肛門、膣、尿道が通っていて、
骨盤底筋が最終的な穴の開け閉めをコントロールしています。
つまり排尿や排便なども骨盤底筋がコントロールしているのです。
そのため骨盤底筋が弱ると尿漏れが発生します。

2.骨盤底筋と姿勢の関係

 骨盤底筋は骨盤の底を支えていることから、
腹腔の上に位置する横隔膜の影響を強く受けます。
また骨盤底筋自体が骨盤内で骨盤を支える働きをするため、
骨盤の開きや捻れ、歪みにも深く関わります。
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<画像では左が腹側>

 胸椎は生理的には後弯していますが、
この後弯が強まり骨盤の後傾が強まると、
骨盤底筋に過度の負担が掛かるため、
性器脱が起こるとされています。
つまり子宮が下がり膣が体外に出てくるのです。

 更に腰椎は生理的に前弯していますが、
これが消失し後弯すると骨盤も後傾してしまい、
その結果内臓下垂が起こるとされています。

 共に姿勢の影響が骨盤底筋に影響を与え、
また骨盤底筋の弱体化が内臓に影響すると言うことです。

3.骨盤底筋が弱っている人の特徴

・運動や咳、排便時のいきみ、ふとした動作時に尿漏れが発生する。
・腹式呼吸が出来ずに胸式で浅い呼吸をする。
・3人以上の出産経験がある。
・月経、排卵時に恥骨や会陰部、骨盤後面(仙腸関節)で痛みがある。
・姿勢が悪い

4.骨盤底筋のトレーニングを3段階で行う。

<第一段階:呼吸に合わせて骨盤底筋を鍛えましょう。>

 仰向けで寝た姿勢で始めます。
お腹に手を当てて腹式呼吸を確認しましょう。

ゆっくりお腹の中の息を口から吐き出します。
吐くときに肛門や膣を身体の中に引き込むように締めます。
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骨盤底筋が使えない人は、
息を吐くときに腹圧に耐えきれず骨盤底筋が下へ下垂します。
骨盤底筋の動きを知りたい人は、
仰向けで寝るときに尾骨を手の指で触知して動きを観察します。
骨盤底筋は尾骨に付着するため、
骨盤底筋がしっかり引き締められている人は尾骨が肛門側(前)に動きます。
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<第二段階:体幹共に鍛えましょう>

 案外知られていませんが、
骨盤底筋は体幹の筋肉と協力して働きます。
いわゆる体幹トレーニングをすることで、
骨盤底筋も鍛えることが出来ます。

 また骨盤底筋を鍛えることで、
体幹も強くなり姿勢もよくなります。
腰痛や骨盤痛、座骨神経痛なども改善され、
女性特有の尿漏れだけでなく様々な問題も解消されます。

 体幹トレーニングはかなり負荷の高いトレーニングのため、
ある程度の筋力がなければ返って身体を痛めることになります。
そのため第一段階が確実に出来るようになってから第二段階に進んで下さい。
第2段階はプランクというトレーニングです。
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<プランク1>
このように腕立ての姿勢で両肘を方の下に着き、
身体が真っ直ぐになるように体幹に力を入れて姿勢を保持します。
最初は30秒程度から始め、
1分維持出来ることを目標に徐々に長くしていきます。

 お尻は上がりすぎても下がりすぎてもいけません。
この姿勢を取って腰や股関節が痛くなるようなら、
まだ体幹筋力が足りませんので、
第一段階のトレーニングに戻りましょう。

 プランクの間は骨盤底筋も意識して骨盤の中に引き込むようにして下さい。
強く引き込むよりもそこそこを長く意識して引き込む方が効果的です。
骨盤底筋群は遅筋繊維のため、
強く早い収縮よりも持続した収縮の維持が重要です。

 骨盤底筋群と共同して働く筋肉は、
腹横筋というお腹のシックスパックの外にある筋肉と、
多裂筋という腰から背中まで背骨に沿ってある筋肉で、
姿勢の維持に大変重要な筋肉です。
またお腹が出ないように支えている筋肉でもあるので、
美容のために美しいお腹を作り出すトレーニングにもなります。
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<プランク2>
横向きの場合では腹横筋がかなり負荷が高いため、
第一段階、第二段階が出来た上で挑戦して下さい。

<第三段階:様々な動きと連動させて>

 第三段階はその他のスポーツや生活動作と連動させて行います。
特にヨガやピラティスなどと組み合わせれば良いですが、
殆どの方は第2段階までで結構です。
体幹をそのスポーツに応用したいアスリートや、
美を求める求道者のような方には有効ですが、
大抵は出来た気がしているだけで成功していません。

 出来た気がするというのは、
効果を本当に出したいトレーニングにとっては危険なものです。
しっかり基礎を学んだ方が、
どんどん応用編に進むより重要です。

5.まとめ

 骨盤底筋は姿勢の維持や内臓下垂の防止、
女性の敵である尿漏れなどに非常に重要な筋肉です。
ただ意識がし辛いために、
トレーニングはしばしば失敗に終わります。

 効果が高いにも関わらず、
骨盤底筋のトレーニング効果はバラバラな結果が出ています。
理学療法の論文を見ていても、
その効果は8割以上のものから4割程度のものまで様々です。

 これは骨盤底筋が意識しづらいことが原因で、
やっているつもりが骨盤底筋のトレーニングになっていなかったり、
骨盤底筋の動き自体が体感出来ないためトレーニングを継続出来ないからです。
まずは骨盤底筋が動いているという実感を持つことが成功の秘訣です。

 ここには書いていませんが、
バランスボールも効果的ですが、
どこでも誰にでもというわけではありませんので、
ここでは省いています。

 道具もなく行えるという意味では、
上に書いているドローイングやプランクは誰にでも出来ます。
出産は全ての女性が経験する訳ではありませんが、
閉経は誰にでも訪れます。
閉経後の尿漏れや姿勢の変化を予防する、
或いは改善するためには非常に効果的ですので、
是非ご一読して実践してみて下さい。