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小児への治療

 小児ばりは一般的には皮膚表面の刺激で行いますが、当然患者の状態によっては刺す必要もあるでしょうし、刺絡のような手技が必要な場合もあります。

 一般的に皮膚表面に施術するのは、肺に関係するためではないかと思います。
肺には成長を促す働きがあります。

また小児の場合、臓腑の形気が未熟なために外邪に犯されやすいということからも、表の気を高めることは十分に意義のあることだと思われます。

 経絡の走行からもその重要性は示唆されます。
肺経は中??から起こります。
つまり中焦や脾胃とも密接に関わっているのです。
脾胃は後天の本ですから、先天的なものが充実している小児にとっても非常に重要なものです。
また先天的な疾患をもっていたり、母胎の影響で十分に栄養を受けられなかった小児にとっては、後天の本はその後の人体形成にとってなくてはならないものです。

 精神的なストレスに対しても肺は独特の働きをします。
肺は心と共に精神的な影響を心に次いでよく受けます。
そのため肺がしっかりしていないと、ストレスからも様々な疾患にかかりやすいとも考えられます。

 肺の志は魄であると言いますが、魄とはいったいなんでしょう。
魄とは身体の形を表します。
元々は魂と対照的なもの、つまり人間が死んだときに魂(精神・霊的なもの)と魄(亡骸・骨)に分かれると考えられました。
亡骸の骨の白いことから魄に「白」という字が使われています。
このことからも人間の成長(背が伸びたり、姿形が大人になる)を主ることが分かります。

 これは昔からある、小児の灸で身柱がよく使われることからも分かります。
身柱は肺兪の間にありますから、肺に影響しているのでしょう。
つまり肺を強くすることで、小児の健やかな成長を促すのです。
先ほども言ったように肺は脾胃とも密接に関わりますから、後天の精を養います。

 澤田腱氏は小児に対して、身柱と命門によく灸を据えたようです。
命門は腎兪の間で、ご存じのように先天の精を養うつぼです。
先天の精と後天の精を養い病邪を退けたわけです。