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各資料2

 資料を集めてあります。
詳しくは、 ”資料” をご覧ください。

|温病|症例|小児への治療|傷寒の治療(太陽病)|脉診2|諸病源候論:第四十一巻|スポーツ障害|書籍|


温病

1.温病の特徴

 さぁまずは温病の特徴ですが、これは難しく考えずに温病ってどういうものなのかということです。温病とともに急性外感病で有名なものに傷寒があります。これは寒邪が外感することに因るものですが、内経の中や傷寒論の中では、温病とはこの寒邪が冬季に外感し、これが春に発症するものを温病、夏に発症すれば暑病としていました。ただ春に発熱するものの中には、春季に外邪に外感した比較的新しいものや、寒邪以外の邪に外感されたものが存在するらしいことが分かりました。これらのものを傷寒とは分けて温病と呼んでいます。

 温病と傷寒はその原因である邪の種類によって分けられていると言って良いでしょう。傷寒は寒邪によって、温病は温邪によって引き起こされる外感病であるということですから、当然様々な違いが生じます。これを下に表にします(表1−1)

傷寒風温(温病)
病因風寒病邪風熱病邪
邪の伝搬経路皮毛から入り、先ず足太陽経が受ける鼻口から入り、先ず手太陰経が受ける
病機寒が肌表に入ると、衛陽は郁し熱と化して里に入る。次第に六経を伝変し、陽を傷る。風熱陽邪は燥と化し易く、陰を傷る。伝変の速度は早く、衛気営血を順に犯す。
初期症侯悪寒発熱、頭痛身痛、無汗、苔薄白、脈浮緊等発熱悪寒、口渇、咳嗽、無汗或いは少汗、頭痛、舌苔薄白、舌辺尖紅赤、脈浮数等
初期治療辛温解表辛涼解表

<表1-1>


 上の表を見ると傷寒と温病は違いますよね。病因が違うのですから、症状やその他様々な違いが出ることは当たり前です。その中から一つ例に取ってみましょう。

 例えば傷寒では症状に悪寒発熱とあり、温病では発熱悪寒とあります。この二つは同じものではありません。悪寒発熱は、最初に寒邪が肌表を犯すことから寒気を感じ、それから正気と邪気の邪正抗争がありますから発熱します。温病では、まず温邪が鼻口から入ることに因る発熱があり、それから手太陰経を犯すことにより、衛気が犯されて防衛・温煦作用が低下して、体温を維持できずにその結果悪寒がします。このように似ている言葉のようでも、その内容には大きな違いがあります。

 これはその治法にも当然影響します。初期治療が違うのもここに由来します。


2.もう少し詳しい温病

 ここまでは紛らわしい概念の傷寒との違いについて触れましたが、これからは温病についてもう少し詳しく触れたいと思います。

 まずはその病因についてですが、病因が温邪であることは先にも触れました。この温邪は実は一つの邪を指しているのではありません。温邪と呼ばれる邪の中にも数種類の邪が存在します。温邪とは陽性の邪の総称だったのです。大きく分けるとこの温邪には2種類の邪が存在します。それは温熱類温邪と湿熱類温邪です。この2つの違いについては下に表にします。(表2-1)


温熱類温病湿熱類温病
病邪の性質温熱性の病邪(風熱、暑熱、燥熱等)湿熱性の病邪(湿熱、暑湿等)
初期病位多くは肺衛、或いは気分、営分多くは脾胃
起病の特徴比較的急で、熱象が顕著比較的緩慢で、初期には熱象が明らかでない
伝変状況比較的速い比較的緩慢だが、化熱化燥後は伝変は速い
病程比較的短い多くはなかなか治癒せず、病程は比較的長い
転帰津液を傷り易い陽気を傷りやすく、化燥後は陰液を傷り易い
病種分布風温、春温、暑温、秋燥、大頭瘟、湿温、伏暑、暑温兼湿


 このような感じでしょうか。それぞれ犯される病邪によって、出てくる症状は少しずつ違います。これ異常細かい説明は正書に譲ることにします。


3.温病の弁証

 温病の弁証は衛気営血弁証と三焦弁証が一般的なようですが、鍼灸の場合は湯液と違いこれだけでは治療できません。これは傷寒でも言えることです。傷寒の場合は六経弁証が一般的ですが、これから臓腑弁証に変換する必要があります。これは温病でも同じですが、まず衛気営血弁証を考えたいと思います。


?@衛気営血弁証

 衛気営血弁証は邪が内陥していく様を、衛気営血の損傷度合いに例えて弁証しています。これは身体の徐々に深い部分が犯されていく様を実に上手く表現していると思います。当然、衛から犯され、徐々に血までが犯されます。つまり症状が重くなって行くわけです。

 下に衛気営血弁証を表にします。



証型病理証候弁要点備考
邪が表衛に郁し、肺気失宣し、邪正の相争が起こる発熱、微かに悪風寒、無汗或いは少寒、咳嗽、口微渇、舌苔薄白、舌辺尖紅、脈浮数発熱、微悪寒、口微渇
邪正は既に争っている。裏熱蒸迫、熱が津を傷る壮熱、悪寒せず、かえって悪熱、汗多く、渇して冷飲を喜ぶ、尿赤、舌質紅、苔黄脈数有力壮熱、不悪寒、口渇、苔黄気分証の病変は広範囲にわたる。熱盛の陽明証が多く見られる
営の熱が陰を傷る。熱が営分に入り、神に影響する。身熱は夜甚だしい。口干があるが、かえって渇飲はひどくない。心煩不寝となり、時に譫語。斑疹が出現。舌質紅絳、脈佐細数身熱が夜甚だしい、心煩、譫語、舌紅絳
動血耗血、?C熱内阻身熱、心神不安、神昏譫狂、吐血、衄血、便血、尿血、斑疹が全身に出る、舌質深紅斑疹、急性多部位出血、多竅道出血、舌質深紅


 と、このような内容です。本来はこの各症状や転帰についての説明が必要ですが、ここでは割愛します。内容には誤解を招く点もあるかもしれませんが、目立って間違った点はないように思います。温病と言っても特別な病機ではなく、東洋医学の基本的知識を持っていれば、十分に理解できる物であることが、理解できたかと思います。つまり邪の犯す部位やその侵攻ルートに関しては、基本的な四診でその都度見れば良いわけですが、温病学を知っていればある程度の侵攻予想が立つと言うことです。また、出てくる症状はその犯されている深さによって変わるのですが、これは温病独特のことではありません。犯される部位と病邪の種類によって、出てくる症状が違うのは、中医基礎理論で十分理解できます。

 分かり難い人は、基礎理論をもう一度読むと、この至らない文章でも温病が何となく理解できるようになるでしょう。次回は温病の三焦弁証についてしてみたいと思います。


        (ここまで平成13年10月18日)


?A三焦弁証

 三焦弁証は、古くは内経や難経にもありましたが、主に温病学派が発展させました。これには先にも挙げた呉鞠通の働きが大きいようです。この辺は東洋学術出版の病因病機学で詳しく書いています。三焦は、五臓に対応すると

  上焦...肺、心包(心)
  中焦...脾、胃、胆、大腸、(膜原)
  下焦...腎、肝、小腸、膀胱

に当たるようです。
場所的には

  上焦...胃の上口(上??)から横隔膜まで
  中焦...胃の中??部
  下焦...回腸、膀胱の位置

とされています。
温病では場所を表すより、どちらかと言えば病の深さを三焦を用いて表していたようです。先にも言いましたが、温病は鼻口から体内に入り、手太陰肺に伝わります。そのため、温病は上焦から入り、徐々に中焦から下焦へと伝わると考えました。つまり上焦の病は比較的軽いのですが、下に行くに連れて病は重くなります。

 それでは病機を三焦に分け説明しながら、衛気営血では出来なかった、症状に対する説明をしていこうと思います。症状にはそれぞれその症状を出す理由があり、その症状を丸暗記するより、その症状がでる原因を知る方が後で応用が利きます。


◎邪が上焦にあるとき(温病の初期)

 温邪はまず肺を犯します。このとき特徴的な症状として、発熱、軽い悪寒、咳嗽、頭痛、軽い口渇、舌辺尖赤、舌苔薄白欠潤、脈浮数等が見られます。

 入ってくるのは陽性の邪である温邪です。まず温邪は体内に入ってきたときに、正気とぶつかりそこで邪正抗争が始まります。このときに発熱します。肺は邪によって粛降機能が低下し、その結果として咳嗽が出ます。肺気は不宣となり衛気の働きが低下し、その結果として温煦機能が低下、その結果として軽い悪寒を感じます。これは、直接寒邪が関係するような傷寒と違い、強い悪寒ではありません。また体内で発熱することにより傷津し、口渇が見られるようになります。

 いかがでしょうか、これら症状にはその症状を起こす原因があり、それを知ることが病体把握です。これは治療への第一歩ではないでしょうか。

 話は戻りますが、上焦の中でも肺は一番表を主っています。邪がこれ以上勢いを増すと、邪は裏に入ります。邪が裏にはいると、邪熱は肺を塞ぎ、肺気は完全に阻まれます。そこで、身熱、汗出、咳喘気促、口渇、苔黄、脈数等の症状が出ます。邪熱が壅盛し、その結果津液は耗傷し身熱、汗出、口渇が出ます。肺気はますます閉ざされ、咳喘気促となります。苔黄、脈数は裏熱が盛んなことを表します。

 以上は上焦に温邪が入ったときですが、これは最初の方であった分類の温熱類病邪の場合です。湿熱類病邪の場合は少し違った病態となります。これらの分類は中焦、下焦と続きますが、量が膨大になりますのでこれらも正書に譲ります。


4.常用診法

 ここでは常用診法のなかから舌診についてです。温病の診察中で舌診の占める割合はかなり大きく評価されているようです。もちろんこれは他の疾病でもそうですが、舌診の特徴である寒熱の診断が出来るということが、陽性の邪である温邪により起こる温病に於いては、その病勢を知る非常に重要な情報になるということでしょう。ここでは表にして示しますので、舌診自体に関しては鍼灸舌診アトラス(緑書房)でどうぞ。(個人的にはこれが一番であると思っています)


欠潤温邪が肺衛にいる
病邪未開、津液は既に傷れている
干燥素体津虧
燥熱病邪が肺衛を犯す
白苔白厚粘膩苔湿熱相搏、濁邪上泛
苔膩舌絳湿遏熱伏
苔滑膩厚、舌質紅絳湿熱穢濁し膜原を郁閉する
白膩苔湿濁内蘊
白ばい苔穢濁内郁
白厚干燥胃燥津液
白砂苔邪熱が化熱し胃に入る
白けん苔胃中縮滞と穢濁郁伏が起こる


 白苔だけでこんなになりました。ちょっと大変です。


薄黄不燥邪熱初入気分、津液の損傷は甚だしくない
黄白相兼邪熱入気分
黄苔黄膩或いは黄濁湿熱内蘊
苔黄乾燥気熱が盛ん、津液已傷
老黄苔熱結腸腑、陽明腑実


 これで黄苔は終わりです。あと灰黒苔と舌質がありますが、特に希望がなければこの位にしたいと思います。


         (以上10月19日)


 やめようかと思ったんですが少しずつ増やします。


遍舌灰黒にして膩痰湿を挟む
灰黒滑潤温病後期、温が寒化、陰寒内盛
灰黒苔灰黒焦燥起刺陽明腑実、津液大傷
薄黒干燥或いは焦枯腎陰耗渇
苔黒燥舌紅腎水竭にして心火盛
苔干黒にして舌淡白無華湿温後期、湿随熱化傷絡動血、気随血脱

舌尖紅赤起刺心火上炎
舌紅中央に「人」の字のような裂紋、或いは紅点心営の熱が甚だしい
紅舌
舌光紅柔潤だがよく見ると乾燥しているところがある熱がなくなった後、まだ津液が回復していない
舌淡紅にして干、色不栄気血不足、気陰両虚


 (以上10月20日)


純紅鮮澤熱入心包
舌絳干燥邪熱入営、営陰耗傷
舌絳で舌上に大きな紅点が有る熱毒乗心
舌絳苔黄白邪が営に伝搬、気分にも邪が未だいる
絳舌舌絳苔粘膩熱は営血にあり、痰湿或いは穢濁
舌絳で鏡面舌胃陰衰亡
舌絳不鮮、干枯して萎縮胃陰耗竭

熱が甚だしい舌焦紫起刺血分熱毒極盛
紫舌飲竭舌紫晦にして干肝腎陰竭
?C血舌紫?C暗内に?C血有り


 常用診法の中でも、温病においてはこの舌診は特に重要視されていることは先にも述べました。寒熱と津液の診断には欠かす事ができません。脈診も当然重要です。特に温病の初期では、浮数の脈を呈することが特徴でしょうか。傷寒では最初に寒邪が入ることから、緊や弦の硬い脈が特徴です。傷寒で有名なのは浮緊脈を示す表寒実証や、浮緩脈の表寒虚証ですが、傷寒初期には寒邪が表衛に入る前、つまり衛気に触れた時ですからやはり堅い脈を呈することが予想されます。このことからすると、温病の本当の初期には数脉はなく、温邪が肺に入ったことによる浮緩脈かなぁと思います。その後発熱による数脉が加わり、次第に肺気が阻害され衛気が傷られて、緩脉から緩大脈、浮大脈になっていくでしょうし、湿が強ければ緩大滑や浮大やや弦のような大きく少し堅い勢いのある脈になるように思います。

 病の進行を知る上では六部定位にも大きな役割があるように感じます。六部定位と脉状診を診ることは非常に重要で、どちらか一方ではなかなか病態を掴むことは出来ませんが、温病学をある程度勉強すると、温病については予後の予測がつきますから、六部定位である程度の予測はつくかもしれません。あくまでも予想ですが。

 ところで治法については、私の持っている本では湯液しか書かれていません。当然鍼灸で治療できるのですが、鍼灸で治療することについては書かれている本を知りませんので、ここでは機会が有ればまた触れたいと思います。少しはお役に立ったでしょうか?


<症例>

治療効果のところで挙げた男性の治療について説明します。
当然、自分自身これが満点の治療ではないと思っていますので、ご意見やご指導はメールで下さい。
 ただし、配穴や刺法、手技についての質問はお受けいたしません。
ご自身で理解して下さい。


<症例>

性別・年齢:
 47歳 男性

主訴:
 左腕、左小指の痺れ・痛み、肩こり

既往歴:
 今までには大きな病気はしておらず、かかりつけの医師もいない。定期的な診察は極度の医者嫌い(怖い?)のため、整形外科などにも行っていないとのこと。
 ぎっくり腰に以前なったことがある。

現病歴:
 以前にも右手が痺れることがあったが、自然に
  緩解した。今回は半年くらい前から上記症状が
  出現。最近は睡眠不足気味である。(テレビの
  見過ぎらしい)

望診:
 恰幅の良い、人柄の良さそうな人である。頭は前
 頭部から薄くなっている。顔色は何となく黒い。

舌診:
 紅〜暗紅(少しくすんでいる)
 白粘厚膩苔




腹診:
 全体に膨満。皮膚表面にやや湿り気がある。

脈診:
 一息四至
 六部定位では脾虚(腎も弱い)
 浮緩弦滑やや結

弁証:
 脾腎陽虚、脾虚失運、湿濁阻絡、湿熱蘊脾、心陽不振

配穴:
 中??(横刺)
 左足三里
 左心兪
 左復溜


 現在は手指や手の痺れだけですが、結脉が出ていることから、湿濁が絡脈を阻んで心陽に影響して不整脈が出ているようです。
本人は医師にはかかっていないため余り危機感がないのですが、非常に怖い状態のよう思います。甘いものや油ものが大好物のようで、毎日何回も食べているようです。
これに加えて脾虚からか、あまり表にストレスを出さず、いつも自分の中に溜め込むため、非常に気の循りが悪いのでしょう。
 治療後には排便の回数、量が非常に増えたようです。体内の湿濁が下されているのでしょう。


小児への治療

小児ばりは一般的には皮膚表面の刺激で行いますが、当然患者の状態によっては刺す必要もあるでしょうし、刺絡のような手技が必要な場合もあります。

 一般的に皮膚表面に施術するのは、肺に関係するためではないかと思います。
肺には成長を促す働きがあります。
また小児の場合、臓腑の形気が未熟なために外邪に犯されやすいということからも、表の気を高めることは十分に意義のあることだと思われます。

 経絡の走行からもその重要性は示唆されます。肺経は中??から起こります。つまり中焦や脾胃とも密接に関わっているのです。
脾胃は後天の本ですから、先天的なものが充実している小児にとっても非常に重要なものです。
また先天的な疾患をもっていたり、母胎の影響で十分に栄養を受けられなかった小児にとっては、後天の本はその後の人体形成にとってなくてはならないものです。

 精神的なストレスに対しても肺は独特の働きをします。
肺は心と共に精神的な影響を心に次いでよく受けます。
そのため肺がしっかりしていないと、ストレスからも様々な疾患にかかりやすいとも考えられます。

 肺の志は魄であると言いますが、魄とはいったいなんでしょう。
魄とは身体の形を表します。
元々は魂と対照的なもの、つまり人間が死んだときに魂(精神・霊的なもの)と魄(亡骸・骨)に分かれると考えられました。
亡骸の骨の白いことから魄に「白」という字が使われています。
このことからも人間の成長(背が伸びたり、姿形が大人になる)を主ることが分かります。

 これは昔からある、小児の灸で身柱がよく使われることからも分かります。
身柱は肺兪の間にありますから、肺に影響しているのでしょう。
つまり肺を強くすることで、小児の健やかな成長を促すのです。
先ほども言ったように肺は脾胃とも密接に関わりますから、後天の精を養います。

 澤田腱氏は小児に対して、身柱と命門によく灸を据えたようです。
命門は腎兪の間で、ご存じのように先天の精を養うつぼです。
先天の精と後天の精を養い病邪を退けたわけです。


傷寒の治療(太陽病)

以前温病について挙げましたので、温病があって傷寒がないのはおかしいと思い、今回傷寒の針灸治療について書くことにしました。
傷寒といえばもちろん傷寒論をベースにした治療ということになりますが、傷寒論のように六経弁証では針灸治療は行えません。
そこで臓腑弁証や八綱弁証を元にして、治療について書いていこうと思います。


1.最初に

 傷寒とは寒邪に傷られるということですよね。
つまり風寒の邪が体表から徐々に内伝していくわけです。
その様子を太陽、陽明、少陽などの経で表していく訳ですね。
温病の場合は温邪が原因ですから、一見似た様な症状でも傷寒と温病では治法は異なります。
これは温病の所でも書いていますので参考にして下さい。


2.病理

 傷寒では風寒の邪は体表から入りますので、最初は体表を主る太陽経に入ることになります。
太陽経は普段衛気によって覆われています。
傷寒にかかる人は先ず第一に衛気が弱まっていることが第一条件になります。
衛気は中焦で作られた穀気が元で出来ていますから、基本的には脾虚がベースにあることが多いように思います。
乾燥などにより肺気が弱まることも原因です。
その他様々な原因により傷寒にはなりますが、先に挙げた2つが何らかの形で必ず関わります。
さて衛気の弱りから風寒の邪が体表にはいると様々な症状が出ることになります。太陽病の代表的な症状は次のものです。
 
 ?@頭痛..寒邪が太陽経気を阻害して経絡の流注に痛みが出ます。
 ?A発熱..風寒の邪と正気が戦うため熱が出ます。
 ?B悪寒..寒邪の影響で陽気が伸びやかさを失い寒さを感じます。
 ?C脉浮..脉浮は表証を表します。
 
?@の頭痛は後頭部痛でしょう。これは太陽経の流注からそう考えられます。
基本的には上記の4つの症状に加え、様々な素体の状態や外邪の強さ・正気の弱さなどにより症状は変わるでしょう。
また傷寒太陽病は八綱では大きく二種類に分かれます。即ち、

 ?@表寒実証...悪寒、発熱、頭痛、脉浮緊(弦)
 ?A表寒虚証...悪寒、発熱、頭痛、脉浮緩(濡)
 
 以上の二種類です。両者の違いはご覧の通り脉象に出ています。
?@の場合には表寒実証ですから、肌表で風寒の邪が留まり結しています。
そのため邪が実、即ち表寒実証となります。
また正気もある程度の強さがあるため、体表に固まっているのでしょう。
?Aの場合素体として正気の弱りがあるため、体表では虚を表す緩脉や濡脉のような柔らかい脉を拍ちます。元々衛気も寒邪も弱いのでしょう。


3.治法

 基本的に傷寒表証の場合には発汗法が基本になります。
つまり汗をかくことで表を解く方法です。
表寒実証の場合には、表にある外邪を瀉するだけでも発汗して治ることも多いし、温灸で太陽経気を補うだけで結構簡単に治ります。
上手な先生は合谷一本で治します。
表寒虚証の場合表を解きながら、中焦の気を増すことも必要です。
これは元々衛気不固の方であるため、次の風邪を予防する意味でもしっかりするべきのように思います。
具体的には中??や足三里などを上手く使うことが重要です。 


4.さらに細かく

 最初に書いたように、太陽病でも純粋にそれだけで来るとは限りませんし、そうなると症状も教科書通りにはいきません。
ただし傷寒論中にたくさん参考になることがありますので、まずそれをクリアしてから他の問題を解決していく方が良いでしょう。
色々とヒントになる条文を参考にポイントをまとめました。

 発熱して悪寒=三陽の病である
 発熱せず悪寒=三陰の病である
 
 一見当たり前のことですが、結構参考になるのではと思います。
簡単な事の方が見落としがちですよね。

 太陽病での発汗は少し汗ばむ程度で十分である。
汗をかかせ過ぎると陽虚となり、悪風、小便難、四肢微急、難以屈伸が出る

 汗は津液であり、津液と共に気は巡っていますから、津液である汗を耗傷させると陽虚となります。
陽虚となれば膀胱の気化作用は衰え小便難が出ることになります。
この場合脾腎の陽気を高めることが重要になります。

 太陽病で発汗過多により陽明へ内伝した場合には、熱邪を瀉して胃の陰気を補う必要がある。

 同じ太陽病でも陽明に内伝する場合もあり、膀胱に伝わる場合もあります。
これは素体の違いでしょうね。元来脾虚であったり、胃熱などを持っていれば陽明経に伝わりやすいように思います。
膀胱の気化作用というのは腎の陽気の働きですから、腎陽虚が元々あれば膀胱に影響が出やすいでしょう。
これは風邪をひく前の段階が分かっていないといけないですね。
あるいは脉象で見分けておくべきでしょう。
 どちらにせよ発汗法のしすぎはいけないと言うことですね。
注意深く発汗法を使いましょう。

 太陽病なのに悪寒が少なく脉微弱である。

 これは元々腎陽虚で膀胱経気が少なかったんでしょう。
最初に表寒虚証の脉象で浮緩あるいは浮濡と書きましたが、更に陽気が弱い場合ですね。
この場合には腎陽を補う必要があります。慢性の腎陽虚なら脾陽も補う必要があるでしょう。 
もちろん太陽病ですから表も解かなくてはいけません。

 太陽病で口渇があるときは、やたらと発汗法をやたらと使わない。

 太陽病でありながら口渇があるということは、陰虚(陰液虚)や少陰病などの存在も考慮しながら治療すること。

 発汗法によって腹満が見られるようになった。

 これは中焦の気が虚してしまったのでしょう。
つまり発汗法のやりすぎですね。
これは定量的な概念ではなく、元々中焦の気弱くて津液を十分に作れない人に、発汗法を強く起こしたために起こったと考えられます。
脾胃の気を増し、津液を作りやすい環境を作ることが大事です。


5.まとめると

 傷寒論の太陽病は全体の中で結構多くの割合を占めますよね。
私たち鍼灸師の所に治療に来る患者さんも太陽病がほとんどで、陽明病などになると鍼灸に来る人はあまりいないように思います。
ということはこの太陽病を治療出来るかどうかは鍼灸の効果を広く一般の人に知ってもらうためには非常に有意義なものだと思います。
そこで治療のポイントをもう一度
 
?@太陽病は発汗法で治療する。
?A汗は軽く肌が湿る程度で、かかせすぎない。
?B津液の虚がある者は発汗させない。
?C裏虚が有るものは先に裏を補う。
?D肌表の状態が悪い者には温補は慎重に行う。
?E治療の評価はその都度行い、誤治に気を配る。


6.最後に

上のポイントと書いたものは実は以前私が失敗したものから出ています。
 以前治療した患者の例を挙げましょう。

 27歳女性。やや痩せ気味で元々アトピー性皮膚炎の治療をしてい
たが、前日に38度の熱と嘔気がしたため来院した。
来院当日も38度前後の発熱。

脉:
 浮緩にしてやや弦 左の関上がやや細い(いつもは細脉)
舌:
 淡紅舌 舌根から中央に掛けて白苔(ほぼ同じ)、舌尖紅刺(これもいつも通り)

弁証:
 太陽病から半表半裏の状態に移行しかけていると判断。

治療:
 裏を補いながら発汗法で治療。
 背部には温灸をした。
 治療後発熱があることを告げ帰宅させた。

治療後:
 帰宅後熱の上昇があったとメールで連絡があり、汗が少しあったような気がするが熱が下がらないとのこと。
排便を聞くと熱が出てからは便秘気味とのこと。
往診にて治療を試みる。
この時点では夜間に熱が40度出たとのことで、しんどそう。
脉は浮洪、舌は部屋が暗くよく判別できない。
口渇がひどいとのことで、津液の消耗が激しい事が予測される。 
足三里と曲池を瀉して、便通と解熱を図る。
その日の晩38度となり、少しだけ排便があったとのこと。
翌朝は37度4分で大分ましになったらしい。
前日同様の治療で、治療終了後は36.6度となりほぼ平熱。
翌朝になり36.5度になり完全復活とのメールが届きました。

 これはいくつかの誤診が重なった誤治であると思います。
一つはこの患者はアトピーで元々発汗が出来なかったこと、ここに温灸なんかを使ったものだから、熱が内攻したようです。
もう一つは便の状態や口渇などを聞かなかったこと。
私のような浅学非才な者は、情報を出来る限り集めた方が良く、何気ない問診が治療のきっかけになるかもしれないのです。
最終的には脈診と舌診があれば不問診で出来るらしいのですが、まだまだ遠い先の話です。
改めて四診や勉強の重要性を知った症例です。
患者さんには感謝されましたが、自分の中では大いなる戒めです。

 丁度同じ頃に私の家でも子供が風邪で熱を出しました。
38度位の熱で少々ご機嫌斜めです。
この時には大椎穴の八分灸と合谷穴の接触針で1日で熱も下がり翌日には食欲・機嫌とも元に戻りました。
やはり元々陰虚や素体の弱さがあると同じ風寒でも治療がかなり変わってくるようですね。
ただし子供の場合には温病と傷寒を間違えるととんでもないことになりますからご注意ください。


脉診2


 脉診は非常に難解で、習得まで何十年もかかるものですが、この脉診は臨床上貴重な情報を与えてくれますし、患者さんに対する問診よりある意味確実な情報です。
患者さんが答える問診にはしばしば誤りがあります。
その理由は様々ですが、誤った情報を元に治療をしても十分な効果は得られません。
そこで脉診をなんとかマスターするためには、初学者はまず脉を診るのと同時に理解する必要があるのではないでしょうか?

 脉を理解するとは、脉気が何から出来ているのか、あるいは私たちは脉から何を得るのかということを、古典を元に理解するのです。
ここでいう脈とは寸口脉としましょう。


1.なぜ寸口で診るか

 一般的には脉診は寸口と言われる手首の橈骨動脈で診ます。
この寸口は手太陰肺経の太淵周囲ですね。
手太陰肺経は経脉の終始するところです。
つまり十二経が集まるところであるのです。


2.脉とは何か

 私たちが脈で診ているのは営衛の気の流れですね。
つまり脉内の営気の量や勢いと、脉外で血を脉内から出さないように統血している衛気の働き・強さを診ているわけです。
脉内の営気は気としての働きの要素と、津液としての物質(液体)としての要素があります。
このことから様々な脉の形態(脉状)はこれらの要素の組合わせであることが分かります。


3.上のことから

 例えば弦脉であれば脉内の営気(血)がある程度あって、尚かつ脉外の衛気の固摂が強く(過剰に)働いている状態であると言えます。
つまり極端に言えば気や血が余ってる訳です。
そこで弦脉の主病と言えば、肝胆の病、痛み、冷え、痰飲などですが、肝胆を病んでいても血虚などでは弦脉は拍ちません。
あくまで肝鬱などの余った状態や、痛みや冷えなどの気血が凝縮したような状態、痰飲などの邪が局所的に実の場合に多く弦脉を拍ちます。
ただし細弦などのばあいは全体としては虚証ですが、どこかに寒邪の内停などの局所的実証が存在します。

 こうして考えると脉は分かり易いものになりますし、本の通りの主病のみで考える必要はなくなるのです。
臨床の場ではしばしば本に出てこないような症例や、脉に遭遇します。
例えば同じ緩脉でも、締まりのある緩脉と締まりのない緩脉では意味が違います。
緩脉ということは、ある程度営気(物質・津液)は足りていますし、 締まりがある方は衛気も足りています。
締まりがない方は衛気が不足していることが予想されます。
後はその衛気がどこで障害されているかですが、緩脉自身は主病に脾の病がありますから、脾病から気が不足している脾気虚や痰飲を伴った脾虚失薀などが考えられると言うことになります。


4.最後に

 上で書いたようなことは本来は最も基本的なもので、全ての診断の基礎となる考え方ではないかと思います。
これを舌診や腹診などの診察診断にも応用すれば良いのではないでしょうか。 
是をするためにはまず臓腑経絡の勉強をする必要があります。
東洋医学で治療する者はまず臓腑経絡の勉強をするべきだと思います。

 学生さんもこのサイトをご覧になってるようですので、今回はちゃっぷさんの助言でのアップとなりました。


諸病源候論:第四十一巻
婦人妊娠病諸侯(上)二十論 一、妊娠候

 諸病源候論から抜粋して妊娠時の経脈と胎児、食事についての項を挙げます。


<1ケ月目>

 妊娠1月、名曰始形、飲食精熟、酸美受御、宣食大麦、無食腥辛、之物、是謂才貞、足厥陰養之。
足厥陰者、肝之脈也。肝主血、1月之時、血流渋、始不出、故足厥陰養之。
足厥陰穴、在足大指岐間白肉際是。


<2ケ月目>

 妊娠2月、名曰始膏。無食腥辛之物、居必静処、男子勿労、百節皆痛、是謂始蔵也、足少陽養之。
足少陽者、胆之脈也、主於精。
2月之時、児精成於胞裏、故足少陽養之。
足少陽穴、在足小指間本節後附骨上1寸間中者是。


<3ケ月目>

 妊娠3月、名始胎。当此之時、血不流、形象始化、未有定儀。見物而変、欲令見貴盛公王、好人端正庄厳、不欲令見傴ロウ侏儒、醜悪形人及猿猴之類。
無食姜兎、無懐刀縄。
欲得男者、操弓矢射雄鶏、乗肥馬於田野、観虎豹及走犬。
其欲得女者、則著簪珂環佩、弄珠キ。
欲令子美好端正者、数視白壁美玉、看孔雀、食鯉魚。欲令児多智有力、則啖牛心、食大麦。
欲令子腎良盛徳、則心正座、清虚和一、坐無邪席、立無偏倚、行無邪径、日無邪視、耳無邪聴、口無邪言、心無邪念、無妄喜怒、無得思慮、食到肉、無邪臥、無横足。
思欲果瓜、啖味酸ショ、好芬芳、悪見穢臭、是謂外象而変者也。手心主養之。
手心主者、脈中精神、内属於心、能混心、故手心主養之。
手心主穴、在掌後横紋是。
 診其妊娠脈滑疾、重以手按之散者、胎已三月也。


<4ケ月>

 妊娠4月之時、始受水精、以成血脈。其食宣稲粳、其羹宣魚雁、是謂盛栄、以通耳目、而行経絡。
洗浴遠避寒暑、是手陽少陽養之。手少陽者、三焦之脈也、内属於腑。
四月之時、児六腑順成、故手少陽養之。
手少陽穴、在手小指間本節後二寸是也。
 診其妊娠四月、欲知男女、左脈疾為男、右脈疾為女、左右倶疾、為生二子。
当此之時、慎勿瀉之、心到産後之殃、何謂也?是手少陽三焦之脈、内属於三焦、静形体、和心志、節飲食。


<5ケ月>

 妊娠五月、始受火精、以成其気。
臥必晏起、洗浣衣服、深其屋室、厚其衣装、朝吸天光、以避寒殃。
其食宣稲麦、其羹宣牛羊、和以茱萸、調以五味、是謂養気、以定五臓者也。一本云、宣食魚鼈。
足太陰養之。足太陰脾之脈、主四季。
五月之時、児四肢皆成、故足太陰養之。
足太陰穴、在足内踝上三寸也。
 診其妊娠脈、重按之不散、但疾不滑者、五月也。
又其脈数者、必向壊、脈緊者、必胞阻。脈遅者、必腹満喘、脈浮者、必水壊為腫。


<6ケ月> 

 妊娠六月、始受金精、以成其筋。身欲微労、無徳静処、出游於野、数観走
犬及走馬、宣食鷲鳥猛獣之肉、是謂変?Z膂筋、以養其爪、以牢其背膂、足陽明養之。
足陽明者、胃之脈、主其口目。
六月之時、児口目皆成、故足陽明養之。
足陽明穴、在太衝之上二寸是也。


<7ヶ月>

  妊娠七月、始受気精以成骨。労躬揺支、無使定止、動作屈伸、居所必燥、飲食避寒、常宣食稲粳、以密?Z理、是謂養骨牢歯者也。手太陰養之。
手太陰者、肺脈、主皮毛。
七月之時、児皮毛已成、故手太陰養之。手太陰穴、在手大指本節後、白肉際陥中是。
診其妊娠七月脈、実大牢強者生、沈細者死。
懐躯七月、而不可知、時時衄転筋者、此為躯衄、時嚔而動者、非ク也。
暴下斗余水、其胎必倚而堕、此非時孤漿預下故也。


<8ケ月>

 妊娠八月、始受土精以成膚革。和心静息、無使気極、是謂密?Z理而光沢顔
色。
手陽明養之。手陽明者、大腸脈、大腸主九竅。
八月之時、児九竅皆成、故手陽明養之。
手陽明穴、在大指本節後宛宛中是。
診其妊娠八月脈、実大牢強弦緊者生、沈細者死。


<9ケ月>

 妊娠九月、始受石精、以成皮毛、六腑百節、莫不畢備。飲醴食甘、緩帯自持而待之、是謂養毛髪、多才力。足少陰養之。
足少陰者、腎之脈、腎主続縅ロウ、九月之時、児脈続ロウ皆成、故足少陰養之。足少陰穴、在足内踝後微近下前動脈是也。


<10ケ月>

 妊娠十月、五臓倶備、六腑斉通、納天地気於丹田、故使関節人神咸備、然可預修滑胎方法也。

 これが原文ですが、一部字が表示されないものがありました。
諸病源候論は有名ですし、翻訳板が出ていますから、そちらを参考にして下さい。


参考:
 校釈諸病源候論  巣 元方著
 南京中医学院校釈/牟田光一郎訳
 緑書房


スポーツ障害

 スポーツ障害と言えばトリガーポイントが有名ですが、トリガーポイントなどの局所治療はどうしても鍼数が多くなりがちです。
また古典的な概念を利用した経筋治療は効果的ですが、まず経筋かどうかの判断が必要です。
そうなれば経筋治療を視野に入れた古典治療という事で、一般の方の治療と何ら変わりありません。

 確かに治療如何ではその後のスポーツの成績に大きな影響を与えますし、場合によっては職を失うことのあるスポーツ選手にとっては死活問題です。

 ここではスポーツ障害(選手)に於ける、鍼灸治療のあり方(仕方)を考えてみたいと思います。

 まず最初にスポーツ選手の診察について、その後経筋治療を進める上での注意を書いてみたいと思います。


1.最初に

 スポーツ選手といえば、外傷や慢性の組織疲労によるスポーツ障害ということで、どうしても局所治療に走りがちになりますが、スポーツ選手ほど全体のバランス治療が必要な人たちはいないのではないでしょうか。
 繰り返しのアンバランスな運動や、心理的ストレスによる情志の失調。
これを改善せずして治療したと言えるのでしょうか?
最近は中医学で治療しておられる先生も多いかと思いますが、まだまだ東洋医学がスポーツ界に協力できることはあるのではないでしょうか。 

 情志の失調が経絡や経筋の異常として出現し、それがパフォーマンスの低下に繋がることは想像に難くありません。
そういう臓腑経絡・経筋の知識に加え、各専門スポーツ種目の知識があればそれに越した事はありません。
 鍼灸師ならばまず臓腑経絡の勉強をするべきだ、と私も勉強会の度に教えられます。
この臓腑経絡の知識は診察・診断・治療に於いて非常に有用なものです。


2.経筋治療

 経筋治療では明治鍼灸大学の篠原先生が学会などでも経筋治療を発表されています。
これは異常と思われる経絡の井穴か?オ穴を触って運動させて、痛みが無くなれば経筋病としてその井穴か?オ穴に皮内針を入れておくというものです。
これを指頭接触負荷試験というらしいです。

 負荷試験については私もそう異存はありません。
治療については、経筋が集まるところに単純に鍼を刺すと
いうやり方でも十分効果がありますし、これなら経筋治療
としてだけでなく、広く他の病にも利用できるように思い
ます。

 経筋は全て井穴から始まりますので、井穴を摘んで運動させ、軽減するようならその経筋が集まるところに鍼を刺す。
但これだけです。

 経筋病の場合は問診の段階でもある程度見分けることが出来ます。
例えばスポーツ選手がトレーニング中に腰を痛めたような場合、既往症が無ければ経筋病の可能性が大きくなりますが、慢性腰痛のお婆さんが顔色を悪くして来院されれば、いくら今日ぎっくり腰をしたと言っても、やはり経筋以外の要素の関与も疑いますよね。
 こういった来院に到るまでの経過は、経筋治療の場合非常に参考になるように思います。(ただし思いこみは禁物です)

 もう一つ経筋治療で重要なのは、治療直後の評価です。
経筋はご存じの通り比較的浅い病ですから、治療直後に痛みが無くなってきます。
少なくとも6〜7割の痛みの現象が見られないといけません。
一般的には8割、理想的には9割以上は軽減するべきです。
これが見られないときは、証が間違えているか、取穴を含め治療がまずいかのどちらかです。


<追加>

 経筋に関しては霊枢の経筋第十三を参考にして下さい。
これによると、経筋治療では火鍼にて治療し、迎随などの補瀉は必要ないとのことです。
その他、各経筋病の症状についても詳しく書かれていますので、ご参照ください。


書籍

 現在鍼灸の学生の方々は古典の勉強のために参考とする書籍には悩む人が多いのではないでしょうか。最近は中国の書籍も手軽に注文できるようになりました。
 特に古典は中々良い物が日本ではなく、どうしても原文で読むしかないのが現実です。
私自身もそんなに勉強家ではありませんので、偉そうには言えませんが、少し参考程度に読みやすい本や、役に立つ本を紹介します。
 基本的には学生の方や、古典に興味があるがまだ読んでいない鍼灸師位のレベル向けです。
値段も十分に買うことが出来るものです。


<日本の出版社>

1.中医病因病機学  東洋学術出版

2.臨床経穴学  東洋学術出版

3.傷寒論鍼灸配穴選注  緑書房

4.鍼灸学釈難  源草社

5.諸病源候論  緑書房

6.鍼灸舌診アトラス  緑書房

7.中国医典質疑録  緑書房

8.奇経八脈考  東洋学術出版

9.霊枢  日本内経医学会 
 
10.難経集註  日本内経医学会

11.中学刺絡鍼法  東洋学術出版

12.金匱要略  株式会社ツムラ

13.難経の研究  医道の日本社

14.中国医学の歴史  東洋学術出版

15.経絡相関論  谷口書店

16.難経校釈  谷口書店 

17.脈経  谷口書店


<原文>

1.類経  人民衛生出版

2.黄帝内経素問校注  天津科学技術出版

3.黄帝内経霊枢校注  天津科学技術出版

4.景岳全書  中学中医薬出版社

5.鍼灸聚英  中医古籍出版社

6.中学鍼灸大全  河南科学技術出版

7.経絡図解  福建科学技術出版社

8.実用中医臓腑弁証治療学  学苑出版社


 原文の書籍に関しては、もっと良いものが他の出版社にあるか
も知れません。
私は値段を見て買っていましたから、比較的安いものしか持って
いません。

 より良い物をお求めならオリエント出版の本なんかどうですか。
私には勿体なくて高すぎて、とても手が出ませんが。