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詳しくは、 ”資料” をご覧ください。

|頭痛| |痰飲| |衝脈| |失眠と嗜眠| |足太陰脾経| |経絡流注病証| |脈診と陰陽論|


頭痛

【概説】
 頭痛は臨床における患者の自覚症状であり、単独でもまた種々の急性・慢性疾患とも出現することがある。
本編では頭痛を主訴とするものについて論述する。
他の疾患の兼症として出現し、その疾患が治れば無くなってしまう疾患については、この編では述べない。
頭痛には様々な原因が存在し、大きく外感によるものと内傷によるものに大別できる。
頭は“諸陽の会”“清陽の府”であり、また髄海の在るところである。

おおよそ五臓の精化である血や、六腑の清陽の気は皆上がって頭に注ぐ。
諸邪を外感し、邪気が留まり清陽を阻み、或いは諸疾患により内傷し、気血の逆乱を導き、血が絡脈を阻み、或いは脳が養分を失い、直接的或いは間接的に頭部に影響し、頭痛が発生する。
鍼灸の臨床で多くみられるのは、内傷頭痛であり、多くは前に受けた治療が無効である。これらは【症例】中の内傷頭痛にも比較的多くみられる。
一般的に副鼻腔炎、鼻咽癌、中耳炎、乳突炎、齲歯、青光眼と脳腫瘍等は外傷によるものとして鑑別されている。
弁証として分けると、本病には風寒、風熱、風湿、肝陽、腎虚、気虚、血虚、気血汚虚、痰濁、?C血と胃火等の症型分類がある。
疼痛部位での分け方には、太陽頭痛、陽明頭痛、少陽頭痛と厥陰頭痛がある。
ここに以上の症型の頭痛、三陽と厥陰頭痛の治療と症例を文述する。

【弁証施治】
 頭痛の弁証は、詳細に病史を詢問し、病因を探求し、疼痛の性質、時間、特徴、部位と随伴症状、虚実、寒熱、気血の不同を弁別し治療を施す。外感頭痛は、一般的に発病が比較的急で、痛みの勢いが強く、多く掣痛、跳痛、灼痛、脹痛、重痛を表し、発すれば休むことなく、多くは実症に属する。
治法は?℃ラを主とする。
内傷頭痛は一般的に起病が緩慢で、多くは隠痛、空痛、昏痛を表し、痛みの勢いは穏やかで長く、疲労すると痛み時に発し、時に止む。
多くは虚証に属し、治法は虚を補うのを主とする。
虚証の頭痛は臨床上、本虚標実が多くみられる。
標実は注意して幹部に取穴し、佐をもって通絡止痛をはかる。
虚証の頭痛における患部には慎んで補法を施す。
標実の患部に取穴するときは、補法を施さないようにする。
頭は諸陽の会となし、手足の三陽経脈は頭を循行し、厥陰経脈は上って巓頂に会している。
大抵、太陽頭痛は多く後頭部にあり、下では項に至っている。
陽明頭痛は多く前額部や眉りょう骨であり、少陽頭痛は多く側頭部にあり、耳にまで達する。
厥陰頭痛は巓頂に痛みがあり、目系にまで達する。
臨床では疼痛部位を根拠に、経絡の分布を参照にして、循経取穴と患部取穴を併せて行う。


1.風寒頭痛

主症:
 頭痛時痛みが項背にまで達し、悪風畏寒し、風寒を感受し、喉が渇しない。
 舌苔薄白、脈浮或いは浮緊。

治則:
 疏風散寒、通絡止痛。

取穴:
 鍼瀉列缺、風池、阿是穴(加灸)。
 或いは瀉灸風池、百会、阿是穴にて疏散頭部風寒し温経止痛をはかる。

 もし寒邪が厥陰経を侵犯したら巓頂頭痛を引き起こし、嘔吐涎沫を伴い、甚だしければ四肢厥冷、苔白脈弦をあらわす。
温散厥陰寒邪にて治す。
つまびらかに大敦、百会に灸を施す。


2.風熱頭痛

主症:
 頭部脹痛、甚だしければ裂痛、発熱悪風、口渇咽痛、便秘溲黄、面紅目赤。
 舌質紅、舌苔薄黄、脈象浮数。

治則:
 疏風清熱、利窮止痛。

取穴:
 鍼瀉曲池、風池、阿是穴(或いは点刺出血);或いは瀉合谷、外関、風池、或いは瀉阿是穴を加える。

 もし大便燥結、口鼻生瘡、腑気不通のものは鍼瀉足三里、風池にて通腑泄熱。


3.風湿頭痛

主症:
 頭痛裏のごとく、肢体困倦、胸悶納呆、小溲不利、大便或いは下す。
 舌苔白膩、脈濡。
 或いは頭痛頭重し気候の変化に左右される。

治則:
 風臓湿、利窮止痛

取穴:
 鍼瀉風池、陰陵泉、或いは阿是穴の瀉を加える。

 もし湿がひどく胸悶すれば足三里の瀉(和胃寛中)を加える。
共に?ワ風臓湿、和胃寛中の効果がある。
もし悪心嘔吐すれば豊隆の瀉(或いは上??)をもって降逆止嘔をはかる。

 もし頭痛、身熱汗出、口渇胸悶の所見があり、夏期の暑湿が内を犯したことによるものは、鍼瀉陰陵泉、点刺にて曲沢から出血させ清暑化湿の効果を収める。


4.肝陽頭痛

主症:
 頭痛或いは眩暈或いは抽痛、ひどければ頭の片側或いは両側が重く、心煩易怒、睡眠不調、面紅目赤、口苦。
 舌紅、舌苔薄黄、脈弦有力。
 常に精神緊張により誘発される。

治則:
 平肝潜陽、通絡止痛。

取穴:
 鍼瀉太衝、風池、百会。
 平肝熄風に重きをおき肝陽上亢、肝風内動による頭痛眩暈を治療する。

 もし腎水不足なら肝陽上亢し清空に上がり、肝陽頭痛となる。
鍼瀉行間、風池にし、復溜を補し、育陰潜陽する。
鎮肝熄風湯の効果に類似している。

 もし肝気鬱結によって肝鬱化火から肝火上升し清空に至る。
所見としては頭痛甚だしく、面紅目赤、脇痛口苦、或いは耳鳴がみられ、溲赤便黄、舌紅苔黄脈象弦数等。
鍼瀉太衝、丘墟、阿是穴をもって清肝瀉火、通絡止痛をはかる。
或いは瀉太衝、丘墟、陰陵泉が祓胆瀉肝湯の効果と類似する。

 偏頭風というものもあり偏頭痛とも称する。
多くは肝経の風火が上がって至ったものである。
所見として片側の頭痛があり、多くは足の少陽経の循行部位である。
頭痛は突然発し非常に強烈で、ときに同側の眼、歯にまで至り、痛みが治まると嘘のように楽になる。
風池、太陽(点刺出血させてもよい)太衝或いは阿是穴瀉を瀉し平肝熄風、通絡止痛する。


5.腎虚頭痛

主症:
 頭部空痛し眩暈を併発する。
 腰膝酸軟、心疲乏力、遺精帯下、耳鳴少寝等をあらわす。
 舌紅少苔、脉細無力。

取穴:
 鍼補復溜、腎兪。

 もし腎陽不足なら頭痛の所見に畏寒、四肢不温、面色白、舌淡、脉象沈細等の兼象をあらわす。
関元、太谿、腎兪を補し温補腎陽、填充精血すると右帰飲の効果に類似する。


6.気虚頭痛

主症:
 頭部空痛、病勢隠隠、早晨較重、或いは過労により重くなる。
 精不支、倦怠正気、四肢無力、食欲不振。
 舌苔薄白、脉虚或いは細にして無力。

治則:
 補中益気、或いは佐を持って通絡止痛。

取穴:
 鍼補合谷、足三里にて補中益気。
 或いは百会の補を加え清気をを頭に上昇させるのを助け補中益気湯の効果と類似させる。

 もし?C血が絡脈にあると、痛みが固定したところにでる。
鍼補合谷、足三里の瀉、?\の阿是穴を瀉して通絡止痛する。

 もし虚中に実があるものは鍼補合谷、足三里し、百会に瀉(これをもって標実を?≠キ)すと補中寓散の意味がある。

 もし気虚に腎虚の兼ねていったら鍼補合谷、太谿にて益気補腎する。

7.血虚頭痛

主症:
 頭痛綿綿、頭暈目眩、肢体倦怠。
 面色白、舌唇色淡、脈象細弱或いは虚

治則:
 補血養血或いは佐をもって通絡止痛。

取穴:
 鍼補三陰交、膈兪にて養血補血。
 寒邪阻絡のものは阿是穴に灸瀉を加え通絡止痛す。


8.気血虧虚頭痛

主症:
 頭痛頭暈、痛勢綿綿、過労すれば甚だしくなる。
 神疲乏力、食欲不振、心悸?r?o。
 面色不華、舌淡苔白、脉細弱無力。

取穴:
 鍼補合谷、三陰交、にて補養気血する。
 痛みが明らかなものは、穴を阿是穴的に選び、通絡止痛を行う。
 心悸不寝のものは神門を補し養心安神し、人参養栄湯と類似した効果がある。
 気虚が明らかなものは、足三里の補を加え益気補中する。
 寒邪があり、絡脈を阻むものや寒さによって痛みが誘発されたり、症状の悪化があるものは、阿是穴に艾灸で瀉を加え温経散寒する。

 もし心脾不足があると、心虚すれば血液循行めぐらず、脾虚すれば精化の源が不旺であり、気血が頭に上らず頭痛となる。


9.痰濁頭痛

主症:
 頭痛昏ぼう、胸??満悶、嘔悪痰涎、食欲呆滞。
 舌苔白膩、脉滑或いは弦滑。

治則:
 化痰降逆、通絡止痛。

 取穴:鍼瀉豊隆、陰陵泉にて?ワ湿化痰降逆し二陳湯と類似した効果をあげる。
或いは阿是穴瀉を加え通絡止痛、或いは上方に脾兪の補を加え、健脾?ワ湿、化痰降濁し、佐をもって通絡止痛の効果をあげる。

 もし風痰に属するものは、鍼にて百会、豊隆に瀉、陰陵泉を補し健脾化痰、熄風止痛し半夏白述天麻湯と類似した効果を上げる。

 もし口苦、舌苔黄濁、大便不暢が出現したものは、これ痰湿の久郁化熱の象である。
豊隆、内庭、阿是穴に瀉を加え清熱化痰、通絡止痛する。

 この他雷頭痛がある。
多くは湿熱であり酒毒狭痰して上昇したものである。
所見として頭痛、頭中で雷鳴がするよう、頭面起核、或いは紅赤腫痛等がみられる。
合谷、豊隆、陰陵泉に鍼瀉し阿是穴から点刺出血させ、除湿化痰、、清熱解毒の効果を収める。


10.?C血頭痛

主症:
 頭痛経久、纒綿不已、痛有定処、或いは錐で刺されるように痛む。
 舌質紫暗、脈象沈?ト或いは細。

治則:
 活血?♪C、通絡止痛。

取穴:三陰交、阿是穴に鍼瀉。
寒邪或いは寒さを感じると痛みを誘発するものは、阿是穴に艾灸を配して温経散寒、活血通絡する。

?C血が絡脈を阻む頭痛は局所の?\穴を瀉して通絡?♪Cし止痛し効果を収める。


11.胃火頭痛

主症:
 前額部の頭痛が多くみられる。
 或いは前額部の熱痛、咽干口臭、煩渇引飲、大便干秘。
 舌紅、苔黄或いは薄黄、脉数或いは洪数。

治則:
 清降胃火、通絡止痛。

 取穴:解谿、足三里を鍼瀉し清胃泄熱、或いは頭維(或いは陽白)阿是穴の瀉を配し通絡止痛する。
もし気分に熱が在り煩渇が明らかなものは合谷、内庭を鍼瀉する。
もし便秘が明らかなものは、中??、天枢、足三里、阿是穴を鍼瀉する。

この他、頭痛部位の経絡循行をもって、例の如く循行取穴を配穴していく。

?@太陽頭痛:その頭痛が後頭部に在り、頭項まで達する。
循経取穴として昆侖を鍼瀉し足太陽経気を宣通する。
熱郁し熱痛するものは昆侖に透天涼を配し太陽経気の郁熱を清宣する。
患部取穴としては、天柱或いは阿是穴を配し、共に宣暢太陽経気、通絡止痛の効果をあげる。


?A少陽頭痛:その痛みが側頭部にあり、耳にまで達する。
循経取穴として丘墟を鍼瀉し足少陽経気を宣通する。
郁熱が上亢し経に沿って上るものは、丘墟に透天涼を配し少陽経気を清宣し、針感が頭まで至ったらよい。
患部取穴としては、太陽、風池の瀉を配し、と共に宣通少陽経気、通絡止痛する。


?B陽明頭痛:その痛みが前額部にあり、眉稜まで達するもの。
循経取穴として、内庭を瀉し、足陽明経気を宣通する。
もし熱が郁し熱痛するものは、解谿の瀉に改め、針感が循行して頭に達するようであればよい。
患部取穴としては頭維(或いは陽白)、阿是穴。
共に宣通足陽明経気、通絡止痛の効果がある。


?C厥陰頭痛:その痛みが巓頂部にあり、目系にまで達する。
循経取穴として太衝の鍼瀉で足厥陰経気を宣通する。
もし熱が郁し熱痛するものは、太衝に透天涼を配し、厥陰経気を清宣する。
患部取穴としては百会、阿是穴。
共に宣暢厥陰経気、通絡止痛の効果がある。

《傷寒論》第337条:“干嘔し、涎沫を吐き頭痛するものは呆茱萸湯がこれを主る。
”この呆茱萸湯証は肝寒犯胃、濁陰上逆に属し、中??、大敦に灸を加え、公孫を鍼瀉し、暖肝温胃、降逆?¢?することで、呆茱萸湯に類似した効果をあげることができる。


【その他】

?@弁証取穴と患部取穴;頭痛の治療において、頭部の疼痛という一標象にのみ着眼して、患部取穴のみ取っていれば、十分な効果は得られない。
さらに患ってから日久しく、病が痼疾してしまっていれば、証型を分けず患部治療をしても、治癒に至るまでには甚だ治療が必要だろう。
おおよそ、気虚、血虚、気血虧虚、腎虚、肝陽、痰濁、?C血と胃火頭痛等の証型に属し、之に弁証取穴する。
実証に属するものは清肝、平肝潜陽、?♪C、化痰、清降胃火等の分別があり、本治の基礎とした上で、患部?\穴に瀉を配し、その標を治する。
本虚標実は補腎、補気、養血、補益気血を本虚の基礎とした上で、患部?\穴の瀉を配し、その標実を治する。
虚証に属するものは、一般的に患部?\穴を取らず、さらに補法を用いずに施術する。
これは疼痛によって或いは経絡の狭少によって気血阻滞し、その成分が存在するためである。
三陽経及び厥陰経の頭痛は、弁証取穴を治本の基礎とした上で、患部?\穴に瀉を配してその標を治する。


?A“通則不痛”の臨床応用;“通則不痛”これは通す方法を使い、到達させ止痛する目的がある。

“通”の字には多種の意味が含まれる。
単に攻下通利を言うのではない。
頭痛病に使う通法は、通暢経絡を指して言う。
弁証施治と症例の両項では、各種不同の治療法則から“通則不痛”の目的に到達した。

これは、単に攻下通利の法を用いたのでなく、或いは単に通暢経絡の法を用いたのでもない。

 例えば、風寒、風熱、風湿、?C血、痰濁、肝陽、胃火等から導かれた頭痛は?&落U寒、?ワ風清熱、活血化?C、?ワ湿化痰、平肝潜陽、清降胃火等の法を分別し施し、通暢経絡し疼痛を制止することを目的とした。
気虚、血虚、気血虧虚により引き起こされた頭痛には、補気、養血、補腎、補益気血の法を分別して施し、血充腎強気健、経脈得養、経絡の滞?トを通暢し止痛することを目的とした。
虚中狭実に属するものは、患部?\穴の瀉を配し、佐をもって通暢経絡し、止痛することを目的とした。
単に通暢経絡の法を用いて、疼痛を制止することを目的とするのは、単純な頭部の疼痛に患部取穴を施す方法である。
内傷諸病による頭痛に、単に通法を用いても、十分な効果は得られない。


痰飲

 “内経には痰証の名はなく、重要視されていない。
痰の名は仲景が後世に伝えている。
なぜ内経では重要視されていないのか、それは、痰が病因ではないからである。
風や火に因り痰は出来るが、風火を息すれば痰を清することが出来るし、虚実によって出来た痰は虚実を調ずれば痰は自ら平する。
つまり、痰によって病が生じるのではなく、病によって痰が生じると言える。
内経では、痰は病の本ではなく標であると考えられていると言える。

今の医流は降痰の方法で痰を治療しようとするが、何に因って出来たのかを知らずして、痰を治療するのは標と本を誤りかねず、真を失いかねない。
当然、病を癒すのは甚だ難しい。
”これは、景岳全書から意訳したものですが、何か参考になるのではと思います。
此の後も、景岳の考えを基に痰飲について書いていきます。


(痰と飲の違い)

 飲は水液に属し、清水を嘔吐し、胸腹膨満、呑酸?シ普、渥渥有声等の症状をあらわし、これらは皆水穀の余りで、停滞して巡らず飲となる。
又、飲は清?Kで腸胃に滞り、水穀化せず飲となるため、その病はすべて腸胃である。
それに比べ、痰は稠濁で至るべきところに至らず、化したものを痰という。
当然、五臓病めばどこで痰が出来ても不思議はない。

 痰を治するには、その場所を先ず弁じ知らなければ、その本を治することは出来ない。


(痰の虚実)

 痰には虚痰と実痰がある。
此の二つを分けて治療しなければ、十分な効果は得られない。
そこで、虚痰とは種々の弱りが元で、津液が滞り出来た痰であるから、補を以て治療しなければならない。

 虚の場合は、その病者の形気弱く、年配、多病、労倦、酒色に溺れ、風に因らない卒厥、脉細数(臓に陽邪がない)、時に嘔悪泄瀉、気短声晴等の症状で、元気の虚を現し、絶対的に多い。

 実の場合は攻を以て治療の本とし、その病者は年が若く力有り、血気未傷、肥満、湿熱盛行、風寒が皮毛を閉ざす、逆気し肝隔に達する等を表す。


(脾腎と痰)

 凡そ痰の脾腎に因らないものは無い。
これは、脾は湿を主り、湿動じて痰となるからである。
また、腎は水を主り、水泛は痰を為すからである。
つまり、痰の化は脾に因らないものは無いし、痰の本は腎に因らないものは無い。
脾に因る実痰は湿が大過のために出来、虚痰は脾虚水泛となって出来る。
腎によるものは虚痰しかなく、腎陽虚から火不生土となる陰中の火虚と、腎陰虚から火盛傷金し、津枯れ液涸する陰中の水虚である。
脾腎の虚実の別をよく弁じるべきである。
痰を治そうとする者は、その痰が化成したところを先ず知るべきである。


(痰に関する条文)

〇風寒が皮毛から入り、肺を襲い肺気不清となり痰を生じたもの、即ち傷寒によるものは辛散すれば痰は自ら癒える。

〇中風の痰の本は外感にあらず、脾腎の虚敗による者で、風門で裁くものではない。
これを察しなさい。

〇痰因火動−治火為主
 寒生−温中為主
 風痰−散之
 湿痰−燥之

〇飲食の痰には寒・熱・肥甘過度・脾湿傷肺の別があり、それぞれに虚実がある。

〇脾虚による不能生湿、腎虚による不能約水は寒痰とし、脾陽干焼・金水偏枯によるものを熱痰とする。

〇飲に4種類あり、痰飲・懸飲・溢飲・支飲である。
素は体格が良かったのに今は痩せており、水が腸間にあり音がする。
これを痰飲という。
水を飲んだ後、水が脇下にあり咳をし唾を吐くと引痛する。
これを懸飲という。
汗が出ず飲んだ水が四肢で留まる。
これを溢飲という。
咳逆倚息、気短し臥することが出来なくなり、その形腫れる。
これを支飲という。

〇水が心に在れば、心下堅築、短気、悪水、水を飲むことを欲しなくなる。
水が肺に在れば、涎沫を吐き、水を飲むことを欲しなくなる。
水が脾に在れば、少気し身重い。
水が肝に在れば、胸下支満し嚔すれば痛む。
水が腎に在れば、心下悸する。

〇飲が心に留まると、背中に掌大の悪寒がし、脇下から缺盆にかけて痛み、咳嗽甚だしい。
胸中に飲が留まれば、その人短気して渇し四肢歴節痛む。
脉沈は飲の滞りがある。
隔の上で痰を病むと満して喘咳して吐き、寒熱を発し、背痛み腰疼く。
目から涙が独りでに出て身震いする。
必ず伏飲がある。

〇病人が水を多く飲むと必ず激しく喘して満す。
凡そ、食少なく飲むものが多いと、水が心下に停まり、甚だしいと悸するし、わずかなら短気する。

〇脉が両手とも弦は寒によるもので、皆よくに午後に大いに虚する。
脉が片方だけ弦なのは飲に因るものである。

〇肺の飲は弦ならず、ただ咳し気短に苦しむ。
支飲はまた喘し臥することが出来ず、短気が加わるが、その脉は平である。
痰飲を病む者は温薬を以てこれを和する。

<以上、金匱要略より>


〇病人で、百薬を用いても効果が無いもので、関上の脉が伏にして大の者は痰である。
眼皮及び眼下が灰の烟のように黒くなる者は痰である。

<陳無擇>


〇中??に痰があり、その人が憎悪発熱、悪寒自風、胸脇痞満する。
傷寒に類する者もいるが、但し頭痛せず項強ばらないなら傷寒ではない。

<活人書>


〇飲の類の留飲は種々蓄えて散らない。
水は燥を得て消散し、湿を得て消えず。
これを以て飲の類は土湿が主る病とす。
大きく分けると湿熱と寒湿がある。

<原病式>


〇凡そ人の痰病の証に五有り。
一に曰く風痰、二に曰く熱痰、三に曰く湿痰、四に曰く酒痰、五に曰く食痰である。
暴れるものが風痰なら形冷え、熱痰なら火盛制金し、湿痰なら飲留まりて散らず、酒痰・食痰なら飲食過度。

<張子和>


〇津液は血の余り、脉外を行き一身を流通す天の清露の如し。
もし、血濁し気濁すれば凝聚し痰を為す。
痰は津液の変にして、天の露の如く也。
故に、痰は躰の上下隅々まで至らないところはない。
即ち津液は全身にあるからだ。
津液は腸胃にて生じ水穀から成る。
濁すれば痰と為す。
故に痰は脾土にて生じる。

<王節斉>


〇凡そ痰火証は脾気不足に因るものであり、脾気郁滞に因るもの有り、脾肺の気の虚損に因るもの有り、腎陰虚により摂水出来なくなり、泛んで痰を為したもの有り、脾気虚で涎を摂することが出来ず、上溢し痰を示したもの有り、痰から熱を生じたことに因るもの有り、風寒暑湿を得たことに因るもの有り、気を得たことに因るもの有り、酒を得たことに因るもの有り、 種々の食物を得たことに因るもの有り、脾虚で運化不能になったことに因るもの有り、胸中に痰が郁して鬼がついたようになることに因るもの有り、おのおの其の源を知って之を治せ。

<薛立斉>


〇腸胃は倉稟と為し、谷の納まるところ。
脾弱に因り運行不能になり、血気が滋養を失う。
故に周流せず気道壅滞し、中焦で腐谷が不能となり、遂に停滞して痰となり、飲となる。


※これらの文章は「景岳全書」から借りた文章です。
張景岳は私が尊敬する医家の一人であり、読む度に考えさせられます。まだお読みでない方は、ぜひ御一読下さい。
もし上の文章で誤りが有れば訂正しますので、ご一報下さい。


衝脈

◎衝脈は経脈の海


◎衝脈の循行

 胞中に起こる→気衝(足陽明経)→横骨(足少陰経)→大赫・気穴・四満・中注・肓兪・商曲・石関・陰都・腹通谷・幽門(足少陰経)→胸中に散布→さらに上行し咽喉を挟み口唇に至り気血を循らせる。

◎霊枢 五音五味第六十五

黄帝曰:
 婦人無鬚者無血気乎。

岐伯曰:
 衝脈任脈皆起於胞中循背裏為経絡之海。

 其浮而外者循、腹右上行、会於咽喉、別而絡唇口、

 血気盛則充膚熱肉、血独盛則澹滲皮膚生豪。

 婦人有余於気、不足於血、月下数脱血、任衝並傷、脉不栄其口唇、故髭鬚不生。

 官者去其宗筋、傷其衝脈、血瀉不復、皮膚内結唇口不栄、故鬚亦不生。

 天官不脱於血、而任衝不盛、宗筋不強、有気無血、唇口不栄、故鬚亦不栄。

通釈:
衝脈、任脈は胞中から起こり、背裏を循り五臓六腑に気血を循環させる為に経絡之海とされている。
その体表に浮かんだものは、腹部の右側を上行し咽喉で会し、別れて口唇にまとっている。
血気が盛んで有れば、皮膚は豊潤となり肌肉は熱せられる。
血だけが旺盛で有れば、皮膚にしっとりと滲み込んで細毛が生える。

 婦人は気が余って血が不足することが多い。
これは毎月の月経により血が無くなってしまうからだ。
このため衝脈、任脈は共に傷められ、口唇を十分に栄養することが出来ない。
だから髭が生えないのだ。

 宦官は其の宗筋(男性器)を除去されたために、衝脈が傷められ血が奪われ戻らなず、皮膚の中に結してしまい、口唇を栄することが出来ない。
だから髭が生えないのである。
天官は血を失ってないが、任脈、衝脈が十分に働かない為に、宗筋が使えない。
気は正常だが血が足りない為に、口唇を栄養出来ず髭が生えないのである。


◎衝脈の下行路

 衝脈は下肢へも循行している。全身に行き渡るから「経脈の海」と呼ばれるのだ。
下肢へは足少陰経と共に下降し、内踝のところで二つに別れる。

 ?@足少陰経と並んで下降し、足少陰・太陰・厥陰の三経に精気を注入する。

 ?A別れてから前に向かい、距腿関節に潜行し、そこから浮き出て足背を下降し、足厥陰経の太衝穴付近に入り、諸絡を暖める。

※足背動脈は衝脈の分支である。
もし、衝脈の支絡が邪に犯され閉塞すると、足背の拍動は停 止し、厥逆状態になる。
つまり足脛が冷え上がる。
霜焼けやひどければ凍傷等では?

 上記の理屈で考えると、冷え性などに応用が出来る。

 →衝脈を通じさせればよい。(=太衝穴やその他足指の中足骨骨底間。公孫穴)


◎衝脈の脉

 三部倶牢直上直下者衝脈也。

 動苦胸中有寒疝。

 「脉経」曰脉来中央堅実、径至関者、衝脈也。

 動苦少腹痛、上搶心、有?i疝、遺溺、女子絶孕....

通釈:
寸口の脉の三部共に牢脉で、浮かんだり沈んだりするものは衝脈の病である。
身体を動かせば苦しくなる。胸中に寒疝があるはずだ。

 脉経ではこういわれている。脉の中央が堅く実していて、ただちに関に至る者は衝脈の病である。
体を動かせば少腹が痛み、上って心を搶き、?i疝が有ったり、尿を漏らしたり、妊娠しなくなる....。


◎脉経・奇経八脉第四

 “衝之為病逆気而裏急” 

 “帯之為病苦腹満腰容容若坐水中状”

 “任之為病其内苦結男子為七疝女子為?i聚”

通釈:
衝脈の病は逆気して腹中が拘攣して痛む。
帯脈の病は腹満となり腰から下が水の中に坐っている様に冷たくなる。
任脈の病は内にて結して苦しみ男子は七疝をつくり、女子は?i聚をつくる。

※七疝:厥疝、び疝、寒疝、気疝、盤疝、腑疝、狼疝のこと。
すべて血気が虚弱で飲食や寒温が不適切である者に起こる。腹痛や嘔吐下痢を呈す。
聚:女性の下腹に腫瘤が出来ること。


◎李瀕湖曰:此臍之左右上下、有気築築然牢而痛、

 正衝任足少陰太陰四経病也。

 成無己注文以為左肝、右肺、上心、下腎

 蓋未審四蔵乃兼邪耳。

通釈:
李瀕湖曰く、臍の左右上下に堅くて突き上げるような搏動があるのは、衝脈、任脈足少陰経、足太陰経の四経の病である。
左を以て肝、右を肺、上を心、下を腎とするのは、四蔵を良く研究していないからだ。
これは、多くの人を惑わせる害が大きいことだ。

※腹部の臓腑配当は書物によって違うが、臓腑・気血・経絡等診るものによってかわるのでは?


◎李瀕湖曰:海有東西南北、人亦有四海以応之。

 胃者水穀之海、其輸上在気街、下至三里。

 衝脈為十二経之海、其輸上在於大杼、下出於巨虚之上下廉。

 中者....。

※衝脈の気血が注がれる?\穴は上部では大杼穴であり、下部では上巨虚穴と下巨虚穴である。


◎衝は血海と為す。 

 −王冰−

※衝脈は全身隅々まで(十二経全て)気血を散布する為、十二経の海であり血海と呼ばれる。


◎衝脈は腎間の動気が生じるところ。

 −楊上善−

※衝脈は腎下胞中に起こり、腎間の動気の発するところとされている。


◎衝脈は足背の趾間全体に拡がっており、気血を循環させる。腹部からは比較的離れており、足少陰経でもない公孫穴が八穴に選ばれたのは、その主治からと考えられる。


失眠と嗜眠

心煩不能寝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・陰虚火旺

虚煩不得眠・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・胆冷

脉弦数有力、胸脇満悶、舌紅、多見于受精神刺激後、夜難入眠・・・気郁化火

多夢易怖、脉弦細数有力、舌淡苔薄・・・・・・・・・・・・・・・心胆気虚

?シ気嘔悪、呑酸?ュ雑、納少、??腹脹痛・・・・・・・・・・・・・・胃気不和

夜不能寝、睡眠不安、多夢易怖、心悸健忘、

面色不華、脉細無力、舌淡苔薄、且無煩躁・・・・・・・・・・・・心脾両虚

胸??痞悶、痰多、苔膩、脉滑弦・・・・・・・・・・・・・・・・・胆気郁結

通宵不眠、精神興奮、言語不休、語無論次、心神不安・・・・・・・痰火攪心

夜中覚魄魂飛落、怖悸、通宵不得安眠、易怒・・・・・・・・・・・肝虚受邪

その他不寝・・・・・・・・・・・・・・・・・・病後虚弱、老年陽虚、血虚

多夢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思慮過度、心血虧耗

夢中易怒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肝気盛

夢中常哭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肺気盛

夢飛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・属上焦熱

夢堕・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・属下焦虚

嗜睡・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・熱性病後脾虚不運及胆熱所致


足太陰脾経

<脾の臓象>

・脾は倉稟の本、栄の居するところ
 脾は飲食物の消化吸収に関係する。
脾は胃と共に消化吸収を主り、後天の本を作る働きをしていま
す。
脾胃が作り出す穀気と先天の気、天空の気が合わさり宗気とな
り、?|中から肺の力で全身へ巡ります。

・その華は口唇にあり
 唇に脾の状態が現れる。

・その充は肌にあり
 
 脾が満たされていれば肌は潤いがある。
脾は肌肉を主り、肉と合わせて脾の状態が見られるところです。
この場合の肉とは全体の肉付きとして解釈しても良いのではないかと思います。

・土気に通じる  
 五行では土に通じる。
土と言っても胃腑の燥土に対して、脾は湿土を主るとされています。

・孤臓を以て四傍を漑する
 四方では中央に座して、潅漑路のような役割をする。
脾は水を循らせる働きもしており、水湿運化を主ります。

・脾は四肢を主る
 脾が弱れば四肢が弱る。
脾が弱れば後天の気を作る事が出来ませんから、最終的には栄
養不足で身体の全ての器官は弱ってしまいます。

・口に開竅する
 飲食を入れる口が脾と関連する。

・その味は甘
 甘味は脾に影響する。
適度な甘みは脾を強くします。
また甘みが足りないと脾が弱ります。

・その畜は牛
 牛は脾に影響する。

・その穀は稗
 稗は脾に影響する。

・思えば脾を傷る
 考えすぎると脾を傷める。

・脾は肉を生ず
 肉は肌と合わせて脾と関係する。

・湿は肉を傷る
 湿邪は脾(肉)を傷りやすい。

・甘は肉を傷る

 甘いものの摂りすぎは肉(脾)を傷る。
甘味は脾を補いますが、摂りすぎると逆に脾を傷ります。
現代ではこちらの方が多いでしょう。
当然甘味を控える必要があります。
脾虚の者に対しても、甘味を与えるべきか控えさせるべきかを考える必要があります。

・脾は血を統べる

 脾には統血作用があり、血を在るべき処に統べる働きを持つ。
不正出血や内出血の治療にも使えます。


<流注>

 脉は大指の端に起こり、指の内側の白肉の際を循り、核骨の後ろを過ぎ、内踝の前廉を上り、踵の内を上り、すねの骨の後ろを循り、厥陰の前に交わり出て、上って膝股の内前廉を循り腹に入って脾に属し胃を絡い、隔を上って咽を挟み、舌本に達っし、舌下に散じる。
 その支別はまた胃に別れて隔を上り心中に注ぐ。


<脾経と衝脈>

 衝脈については以前も資料で紹介しましたが、ご存じの通り衝脈の代表穴が公孫になっています。
つまり公孫は脾経であり衝脈でもあるわけです。
衝脈は陰器に非常に密接な関係を持っていますし、脾経自身が血を統べ、血を作り出す臓ですから、血の塊である胎児とは切っても切れない間柄です。
このため脾経は妊娠出産や婦人科疾患の治療に広く使われてきました。

 三陰交が婦人科疾患の治療に使われるのは、もちろん足の三陰経が重なっていることもありますが、脾経が衝脈と深い関わりを持つことにも起因すると思われます。

 臓腑や経絡を考えるときは、その流注や交会穴を始め様々な臓象や五行、などの様々な理論が手助けになることがあります。


<是動病・所生病>

是動ずると病んで舌が強ばり、食すと嘔し胃??が痛み、腹脹・

  流注に関係するところや臓象に関係する症状が出ます。

善噫し、余気が後出得ると快然と衰えた如く身体は皆重い。

  脾が虚すと四肢用いることができません。

所生病は舌本が痛み、身体を動揺出来ず、食は下らず煩心し、

  舌本が強ばるよりも強く出る

心下急痛し、溏・?i・洩をなし、水閉・黄疽をおこし臥られず

  脾経は心中に注いでいます

強欠となり、股膝内が腫れ厥して大指が用いられない。


<まとめ>

 脾経は消化器系の治療には非常によく使われますし、何と言っても後天の本ですから、あらゆる病に対応する臓です。
これに胃経や腎経を合わせて本治法には非常によく使われます。

 よって腹脹や泄瀉、食思不振、嘔吐、胃心痛、大便難、等の消化器症状や、四肢不節や体重節痛、経絡に沿った痛みや痺れなどの症状、生殖や血に関係する病、本質的な生命力に対する治療にも必須です。

 経絡の流注、臓象は非常に重要ですから、鍼灸師なら深い理解が必要でしょう。


経絡流注病証

 私達が病態把握をする時、もちろん四診によるものが主体となるのですが、四診に関しては一朝一夕では習得できません。
そこで便利なのが経絡や臓象などの基礎知識です。

 例えば腰痛患者などなら、まず腰を通る経絡を考え、腰に関係する臓象を考え、そして腰痛の原因になるような病因を考えれば良いわけです。
ある程度の予想が立てば、無駄な質問や検査をする必要はありません。
後は脈診や腹診、舌診で病態を把握すれば、ある程度の弁証が立ち、治療対象も明確化します。

 ここでは経絡を元にした感がえ方の例を書いて見ました。
学生さんなどはこれを元に、自分なりの本を作ってください。


1.腰痛

?@足太陽膀胱経

<走行>
・経脈−広く腰を循り、腎・膀胱を絡う。
環銚にも繋がる肛門、臀部、膝窩、膝外側、飛陽、外果、踵を通る。

<病証>
・是動病−目が脱するように痛み、項が抜けるようで、脊痛み、腰は折れるようで、股関節を曲げることが出来ない。
 太股は結し、ふくらはぎは裂けるようである。 
・経筋−小指から踵にかけて痛み、腓返りし、背骨が折れるよう、項が突っ張り、肩が挙がらず、脇の下から缺盆に変えて締め付けられるように痛み、左右に動かすことが出来ない。


?A足少陰腎経

<走行>
・別脈−十四椎下に出て帯脈に属す。
・経筋−脊の内を挟んで膂を上がり項にに至る。

<病証>
・所生病−脊股内後廉痛む
・十五絡−実すれば閉?オし、虚すれば腰痛む
・経筋−外に在りては俯せが、内に在りては仰向けが出来ない。
 故に陽病めば腰が反って俯せになれず、陰病めば仰向けになれない。


?B足少陽胆経

<走行>
・経脈−大腸兪、小腸兪、上??、中??、腰陽関(十六椎下)、十七椎下、鳩杷(十八椎下)を循り、長強に結ぶ。
・経筋−大腿外側を通って腰仙部を循る。

<病証>
・所生病−胸、脇、肋、髀、膝の外側から脛に至り、絶骨、外果の前及び節々が皆痛み、小指の次指用いられず。
・十五絡−実すれば厥し、虚すれば痿躄して坐して起きれず。


?C陽?U脈

<走行> 
・足太陽膀胱経の別脈である。
・足跟の中から起こり、申脈穴に出て外果の後方を循り僕参穴を本とする。
 そこから外果の上三寸に上がって附陽穴を?t穴とする。

<病証>
・寸口の脉が左右に弾くような脉があれば陽?U脈の証である。
 その時には腰背痛に苦しみやすい。


?D督脈

<走行>
・胞中から起こり骨盤の中央を下降して、尿道口の下端に連絡する。
 会陰を循り、臀部を経て会陽穴から脊柱を貫き、長強穴に至る。
 尾てい骨の下端にある長強穴で督脈は少陰腎経と交会し、脊柱の内部を上行する。

<病証>
・尺寸共に浮にして直ちに上り直ちに下るは之を督脈の病と為す。
 腰背強ばり痛み、俯仰するを得ず...。


?E帯脈

<走行>
・足少陰及び足太陽経、足少陽経と連系している。
・季肋(章門穴)に起こり身を一周する。(五枢穴、維道穴)
・足少陰経の経別は膝窩部に起こり〜上行して腎臓に至り、十四椎下から別れて帯脈に属する。

<病証>
・秦越人曰く、帯脈の病たる、腹満し、腰は溶溶として水中に座せるが如し。
・王叔和曰く、帯脈の病たる、左右より臍を繞り、腰脊痛み、陰股を衝くなり。


?F陽維脈

<走行>
・金門穴から始まり、陽維脈の?t穴である陽交穴で足少陽経と交会する。
 それから膝外側を循り、股関節部に上り居??穴で足少陽経と交会する。

<病証>
・「素問」腰痛論に曰く、陽維の脉は人をして腰痛せしむ、痛みの上怫然として腫る。
 陽維の脈を刺すは、太陽とぜん(ふくらはぎ)間に合する、地をを去ること1尺(承山穴)なり。


2.膝痛

?@足陽明胃経

<走行>
・経筋が膝に結ぶ。
・膝の外廉に結び足少陽と合する。

<病証>
・足陽明胃の是動病−膝??が腫れ痛む。
・経筋の病−髀の前が腫れる。


?A足太陰脾経

<走行>
・経脈−膝股の内前廉を上る。
・経筋−膝内輔骨を絡う。

<病証>
・所生病−股膝の内腫れて厥する。
・経筋−膝内輔骨痛み、陰股が引きつり髀が痛む。


?B足太陽膀胱経

<走行>
・経脈−膕中に入る。
・経筋−膕、膝外側に結ぶ。

<病証>
・是動病−膕が結ばれる如し。
・所生病−膕、ふくらはぎ用いられず。
・経筋−膕が痙攣する


?C足少陰腎経

<走行>
・経脈−膕内廉に出る。
・内輔の下に結する。

<病証>
・所生病−痿厥する。
・経筋の過ぎるところは皆痛み、転筋する。


?D足少陽胆経

<走行>
・経脈−膝外廉に出る
・経筋−脛外廉を上って膝外廉に結する。その支は外輔骨に起こる

<病証>
・所生病−膝外から脛に至り、絶骨、外果の前及び節々が皆痛む。
・十五絡−実すれば厥となり、虚すれば痿躄となり、坐して起きること能わず。
・経筋−膝外が引きつり転筋し、膝を屈伸することが出来ず、膕の筋が急する。


?E足厥陰肝経

<走行>
・経脈−膕内廉を上る
・内輔の下に結する。

<病証>
・経筋−内輔が痛む


3.肩凝り

?@手太陰肺経

<走行>
・経筋−肩??、缺盆に結する。

<病証> 
・所生病−肩背痛む
・虚すれば肩背痛む


?A手陽明大腸経

<走行>
・経脈−肩を上って??骨の前廉に出て、柱骨の上に出る。
・経別−肩??に別れて柱骨に入る。
・経筋−臑を上って??に結する。その支は肩胛を循り脊を挟む。
 直なるものは肩??から頚を上る。

<病証>
・経筋−走行に沿って痛み転筋し、肩が挙がらなくなり、頚を動かして左右を視ることが出来ない。


?B足陽明胃経

<走行> 
・経脈−肩井に入る。
・経筋−脇を循って脊に属す。


?C足太陽膀胱経
<走行>
・経脈−天柱から脊を挟んで下行する。
・経筋−完骨、柱骨に結する。

<病証>
・是動病−頭痛し、目が脱するように痛み、項が抜けるようで、背骨が痛む。
・所生病−頭項痛
・十五絡−実すれば頭背痛む
・経筋−脊反って折れるようで肩挙がらず、脇から缺盆の中が締め付けられるように痛み、左右に動かせない。


?D手太陽小腸経

<走行>
・経脈−肩解に出て肩胛を循り肩上で交わり缺盆に入る。
・経筋−肩胛をめぐり、頚に出て太陽の前を循り、耳後完骨に結ぶ。

<病証>
・是動病−顧みることが出来なくなり、肩や腕が抜けるようである。
・所生病−頚、肩、肘、肩の後ろが痛む。
・経筋−臂陰を循り、腋下に入り、腋下痛み、腋後廉が痛んで、肩胛骨から頚まで引きつり痛む。
 頚の筋が急し、筋痿となり頚が腫れ、頚に寒熱在り。


?E足太陽膀胱経

<走行>
・経筋−脊内を挟んで循り、膂を上がり項に至り柱骨に結する。

<病証>
・経筋−経の過ぎるところは全て痛み、転筋する。


?F手少陽三焦経

<走行>
・経脈−臑外を循り、肩を上って足少陽の後ろに出て交わる。(肩井穴)
・経筋−臑外廉を上り、肩を上り、頚に走って手太陽と合する。(天?K)

<病証>
・所生病−頬、耳後、肩、臑、肘、臂外皆痛む。
・経筋−その病たる過ぐるところ皆転筋する。


?G足少陽胆経

<走行>
・経脈−頚を循り手少陽の前を行き、肩上に至って手少陽の後ろで交わり缺盆に入る。

<病証>
・経筋−頸に繋がる筋が急する

<参考文献>
十二経絡図譜北辰会
奇経八脈考 東洋学術出版社
黄帝内経太素科学技術文献出版社
脉経谷口書店
経絡経穴概論医道の日本社


脈診と陰陽論

 基本的に全ての鍼灸理論は陰陽論から出来ています。もちろん四診とて例外ではありません。

 例えば脈診では、脈の要素なる脈を打つ速さ、強さ、深さなども陰陽論で考えます。
これを表にすると下のようになります。


 陽  浮  数  実 
 陰  沈  遅  虚 


 基本的には脈はこれらの要素の組み合わせで出来ていますから、どんな脈もこれらで表現することが出来ます。

 またその脈が表す病態もこれらの要素から予想することになります。
ただし陰陽は全ての脈を総括する概念として存在していますので、実際には6種類の組み合わせとなります。

 この6種類の脈の要素には様々な意味が含まれており、例えば浮脈には表の病であるとか、裏が虚しているといった意味があります。

 表の病とは東洋医学で風邪(傷寒)などを診る時に、東洋医学の概念では風邪(傷寒)は皮毛(体表)から風寒の邪(病原体)が入ってくると考えますので、表から病が入ってきたので、邪を表す脈は浮いてきます。

 もう一つの浮脈であるものは、身体が弱っている時などに、脈を制しきれなくて押さえが利かず浮いてくる脈です。

 この二つの脈では、当然悪い物(邪)が体表にあることを表現する方が強く打ち、体力の低下を表す方が弱く打つことが予想され、同じ浮脈でも違った打ち方をします。
これは、先の要素である虚実の概念ですね。
 
 こういった小さな要素の集まりが一つの脈となって各個々の病態を表し、これを鍼灸師は脈診によって読み取るのです。
 ということは当然陰陽論にも深い理解が求められますし、その要素を組み合わせた八綱も臨床においては重要になるでしょう。