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治療効果とは2

 ここでは私たちが、東洋医学では具体的に何を基準に患者さんの予後判断や病態把握をしているかについてです。
少し難しいこともあるかも知れませんが、とっても役に立つ話です。

 私たちが四診を元に治療方針を決めていることは別の項目の中でお話しました。
それでは具体的にはどういった方法で、私たち鍼灸師は患者さんの身体を診ているのでしょう。

 まず人が病気になるのは当然何か身体にマイナスの要因があるからです。
このことを病因といいます。病気の原因ですね。
この病因には大きく分けると3種類の病因があります。
それは内因、外因、不内外因と呼ばれます。


(内因)

 要するに身体の中から発する原因のことです。
これには自らの感情の影響によって病を発するものがあり、東洋医学では七情による損傷と呼ばれます。
七情とは、怒、喜、思、憂、悲、恐、驚のことで感情は五臓に通じているものであるため、感情の乱れから病を発すると考えました。
ストレス性の胃炎などはこれに属するでしょう。


(外因)

 外因は主に自然の気候風土によるものと考えれば良いと思います。
これらは六淫と呼ばれています。
六淫とは、風、寒、暑、湿、燥、火の六種類です。例えば夏の炎天下での熱中症などは暑邪(暑湿)によるものでしょうし、冬にひく風邪は字の通り風邪(ふうじゃ、風寒の邪)によるものです。 


(不内外因)

 ここにはその他多くの原因が入ります。
例えば飲食の不摂生や外傷性のもの、房事(SEX)の過多なども入ります。

 これらの様々な病因のどれが原因かをまず知るわけです。
四診の中でも生命力や予後の判断に最初に用いられるのは望診です。
まず初対面で、患者さんの身体から発する生命力を感じるわけです。
これは別に特殊なことではありません。
病院の重症患者などに会ったことのある方は分かるでしょうが、独特の重苦しい空気やどこと無く心地の悪い雰囲気のことです。
これは臨床を積むほど敏感になるようです。(個人差はありますが)

 同じく望診では舌診で病の寒熱や、やはり生命力を診ます。
問診や聞診も重要です。
声に張りがなくなると余りよくない場合が多いです。
臭いも重症になれば独特の臭いを発します。問診で急激な体重減少や、夜間に発する強い痛みがあれば、鍼灸不適応の場合が多いです。
これは鍼灸が効かないのではなく、消耗性疾患(癌など)の場合が多いため、外科的手術が第一選択になる場合が多いのです。

 次いで切診で脈や経絡、お腹や背中を診ます。全てに共通しているのは艶があり、適度にやわらかく、硬すぎず柔らかすぎずが丁度良いということです。

 これらの兆候が悪いものから良いものに治療後変わってくれば、治療は成功です。そこでここでは比較的分かりやすい診察である、舌診を例に治療が効いているのか、自分の身体が良くなっているのかを、自分で診てみましょう。


(舌診)

 舌を見る前は色のつく食べ物は食べてはいけません。出来れば朝一番の舌を見れば良いでしょう。
照明は出来れば自然光が良く、ない場合は小さな懐中電灯で代用しますが、明かりが均一であれば問題ありません。
つまり毎日同じ明かりで見るのであれば問題ありません。
明るくても、毎日違うところで見れば、当然色目が変わって見えます。
それと色や形には個人差がありますので、人と比べても仕方がありません。
それよりは毎日の自分の舌の変化を観察して下さい。

 舌は大きく舌質と舌苔に分けて診ます。舌の色は薄い赤色が良く、形は適度にしまっている方が良いものです。

舌の苔は薄くて白いものが良くて、分厚い物は体内に不要な物が多く溜まっていることを表します。

 下に簡単に表にします。

(舌の形)(舌の色)
紅黒い
小さく萎縮している紅(あか)い
適度にしまりがある(基準)薄い紅(基準)
大きくだらしなく広がっている白っぽい紅
青っぽい紅
(苔の厚さ)(苔の色)
分厚い白い
薄く着いている(基準)黄色
着いてない

 こんな感じですが、基準から離れるほど悪くて、治療によって基準に近づけることが、私たちの目標になります。
自分で診るときも、分厚い苔が薄くなってきたら体調が良くなっているということですが、部分的にはげ落ちているというのは体調悪化を表します。

 どうでしょうが、自分でも出来そうではないでしょうか?自分で診て、体調が悪化しているようなら、その前に何があったかを考えてみて下さい。
もし前日に飲酒の量が多かったなら、飲酒を控えればその症状は軽減するはずです。
もし今針灸治療にかかっているなら、治療の前後を比べてみて下さい。また治療頻度の目安にしてみて下さい。