収録記事
トップ
お話
トップ

治療効果とは

 東洋医学の治療効果は最初の内は比較的分かり難いもかもしれません。
というのは、私たち鍼灸師は脈や舌などで患者さんの状態を常に観察しているのですが、患者さんはそうではありません。
患者さんは自覚的な訴えによって判断しますし、そこには過去の身体に対する症状より、今の身体の自覚症状に重きを置きます。

つまり過去の症状からどれだけ変わったかというより、今どれだけ自分が症状を感じているかなのです。
こう言ってしまえば何か鍼灸師の逃げ口上のようですが、自覚症状というのは、かなりいいかげんな情報であるということを、まず知ってもらいたいのです。

 よくこういう話を聞きます。
ある友人が癌で、気づいた時にはすでに遅く手遅れだった。
これっておかしい話ですよね。
死ぬほどの病にかかっていながら分からないなんて。
でも実際には、ほとんどの方が何らかの自覚症状があるんです。
でも医者にかかるほどではないと思い、放っておいたら手遅れだった。
また最近は何ともない方(厳密には違いますが)が、頻繁に医者のところを訪れ症状を訴えるが、検査をしても異常は出ない。
あるいは明らかに過剰な訴えをする。

 これらはいずれも東洋医学の中では異常があることが多いのですが、自覚症状とその身体の実際の状態とは一致しないことが多いものです。
これらの不一致を一致させることが治療の大きな目標の内の一つです。
自分の身体が自分で分かる。
これが理想的な姿ではないでしょうか。
痛いのを取り除くとか、痺れを取ることは確かに大事なのですが、もし生活習慣から生じたものなら、治療をしても再び同じ様な状態になるかもしれません。
そのときに自分の身体がわかっていたら、そろそろ治療が必要かなとか、これをすると調子が悪くなるみたいだなどと、病が進行する前に自分で何らかの対策を立てることが出来ます。
もちろん痛いところや訴えが無くなることは鍼灸治療にとって重要ですし、その鍼灸師の治療の腕が大きく分かれるところです。

 しかしせっかくですから、鍼灸師の話に少し耳を傾けて下さい。
あなたの身体を知るきっかけがそこに隠れているかもしれません。