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東洋医学と科学

 東洋医学と西洋医学の融合は、中国でも文化大革命以降盛んに試
みられているが、その成果については懐疑的な部分も多いように思います。
私自身も、東洋医学を科学的に本当に解明できるなら是非して頂きたいのですが、今の科学のレベルではまだまだ無理のような気がします。(科学者の方いたらゴメンナサイ)

 文化大革命当時の中国では、ほぼ人体実験のように鍼灸が行われ、恐らくかなりの人的被害があっただろうと思います。
私の手元に、「毛沢東思想のハリ」という本がありますが、この本は1972年の出版で、文化大革命当時の鍼灸の様子をとてもよく表しています。
この中では西洋列強に負けない医学が中国にあることを示そうと、かなり強引な鍼灸術がされていて、今日本でこういうことをやったら裁判沙汰になりそうなことが書かれています。
ここでは治療効果を全面に出すことが目的のため、身体全体が痺れるくらいの強刺激を中枢神経周囲で与えたり、その刺激に耐えるため「毛沢東バンザーイ」と言いながら軍人が人体実験に耐えている様子が書かれています。
この事が悪かったのか、現代中医学にはこういう変な西洋医学への対抗意識があるように思います。
ハリ麻酔ややたらと電気針を使うのもこの影響でしょうか。

 さて話は元に戻りますが、本当に科学的な鍼灸とはどういうことでしょうか?
よく西洋医学で色々な治療効果を試すのに、ダブルブラインド法といのが用いられます。
これは二つグループをつくり、片方に本来の治療を、もう一方に治療を加えたように見せかけ実は加えないというもので、この二つのグループの治療効果の違いからその治療の効果を計ろうというわけです。
つまり治療を加えないグループと治療を加えたグループが同じような治療効果を挙げれば、その治療はしてもしなくても同じ結果であるというわけです。
ただし、これには治療以外の条件を同じにする必要があります。
厳密に言うと東洋医学においてこれは無理です。
同じ状態の人は基本的にいないとするのが東洋医学ですから、このような実験は基本的には成り立ちません。
例えば慢性胃潰瘍の人に鍼を打とうとしても、東洋医学的診断では同じ診断(証)であるとは限りません。
仮に同じ証でも、性別や年齢、その時の体力等で治療方針は変わってしまいます。
そのようなことを踏まえると、東洋医学が実証できることがあるとすれば「気」の存在が判明し、宇宙のシステムや物質の成り立ちが分かった時でしょうか。
やはり基本的な概念から検証する必要があるのではないでしょうか。

 これも私の蔵書で「水の分子生理学」という本がありますが、これは私の師匠から勉強になるからということで頂いたのですが、この本は水という物質を、一分子生理学という面から解明したもので、詳しくは理解できませんが、非常に東洋医学の物質観に近いように感じます。
どうしても東洋医学を科学的にというと、西洋医学的な解釈や治療効果の実証などになることが多いのですが、実際には東洋医学の根本にある物質観や生命観を実証する必要があるでしょう。
治療は多くの要素が複雑になって出来ているものですから、それを一つの方法で証明しようとすることはナンセンスです。
やはりここは科学の発達を待つしかないですね。

 もう一つ科学偏狂の自称科学派と東洋医学を変に理解した鍼灸師がいなくなれば良いのですが..。