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不思議ではない?東洋医学

 東洋医学や鍼灸はどうしても現代医学から見ると、比較的怪しげで効果も眉唾物とされているようです。
これには様々な要因が考えられます。
一つにはその治療効果が治療家によって様々で、時に考えられないような効果を挙げたり、時には誤診や治療技術の未熟さから、考えられないような失敗を起こすことなどが考えられます。
さらに奇跡的な治療効果を挙げた治療家の中には、自分には人には無い能力が有るものだと信じ、宗教家のような振る舞いをする治療家まで出る始末です。

 この二つはいずれも東洋医学のことを誤解した結果だと言えるでしょう。
東洋医学は確かに常識では考えられないような効果を示すこともありますし、現代医学的な検査をせずとも患者さんの体調や体質を知ることも可能です。
ただしこれは、先人たちの築いてきた礎の下に成り立つことで、言ってみれば基礎から勉強した人間には当たり前のことなのでしょう。(私はここまで至ってませんが)

 治療家になれば奇跡的に良くなったり、その人がどういう状態であるか分かるようになったりというのは、程度の差はあれ誰しも経験することなのです。
何年間もホルモン剤なしで来ない月経が、数回の針治療で来たとか、終わっていた月経が又始まったとかなんていいうのはよくあることのようです。
しかしこれらは決して奇跡などではなく、本来あるべきものがあっただけなのです。
当然、東洋医学においても絶対的な限界はあります。
これは東洋医学では逆証と呼ばれ、予後不良を表します。
この逆証が見られる場合は、多くは西洋医学的にも予後不良です。
まれに、東洋医学的に予後不良なものが西洋医学で助かったり(臓器移植などはこれではないでしょうか?)、西洋医学で予後不良と言われたものが東洋医学では逆証ではなかったりしますが、これはそんなに多くはないと思います。
少なくとも私自身は経験がありません。
これには私の治療技術の未熟さも手伝っていることもありますが、やはり一般的には予後不良の診断は、ある程度一致するように思います。

 以前私が診た患者さんで、食欲がなく肩こりがするという患者さんがいました。この患者さんは目がうつろで、脈や舌などの診察では明らかに逆証を示していました。
同伴の奥さんに聞くとやはり末期癌で余命幾許もないということでした。
本人がどうしても肩こりがつらいということで来院したらしいのですが、本人は自分の体のことは知らされていませんでした。
東洋医学では様々な診察方法で、このような患者さんの身体を診ていきます。
一日目の治療は軽く皮膚に入る程度の針をして、様子を診ていただきました。
翌日、患者さんの話ではよく食事が取れたと言うことでしたが、肩こりは相変わらずあるということでした。
さらに奥さんに受付で聞くと、食事は驚くほど取っていたが、夜中に痛みがさらに強くなっていたようだということで、この日はさらに弱い針をしました。
その後来られなくなり心配していましたが、数ヶ月して奥さんが来られ、自分も見て欲しいということでした。
旦那さんの話を聞くと、あの後すぐ入院し、3日程で亡くなられたということでした。
つまり最初に診て1週間経たずに亡くなられたということでした。
もう少し腕があればあと少しでも長く生きることが出来たかなぁとか、自分の治療のせいで寿命が短くなったのかなぁと考えたりもしましたが、奥さんからはお礼を言われ、何も話をしないのに癌のことを分かってもらえたと、言っていただきました。
自分にとっては大変貴重な体験となり、より一層東洋医学を勉強しなくてはと、改めて教えられた体験でした。