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仮性近視と近視

 当院に来院される小児疾患の患者さんの内、
大多数を占める近視ですが、
仮性近視と本当の近視があります。

 この二つを正しく理解することは、
子どもさんの治療を受ける上で非常に大事なことであると思いますので、
少し詳しく説明したいと思います。

1.眼の構造と機能

 まず最初に眼の構造とその働きを簡単に理解しましょう。
ざっくり言うと目から入った光(映像)は眼球の奥の網膜で映像を映します。
この網膜に写った映像は、
視神経により脳に伝えられ画像として理解されます。

 つまり目が見えにくい人の場合、
映像が入ってくるルートの問題と映像を理解(処理)する脳の問題があることになります。
仮性近視も近視もルートの問題ではありますが、
少し意味合いが異なります。
これは後で解説します。

 下の図が眼の断面図です。

mierusikumi21.gif

 この図では角膜から入った光がレンズ(水晶体)を通り、
最後網膜の部分で逆さまに映っているのが分かります。
この画像をが上手く網膜の部分でピントが合えば、
その人の視力は適切(近視でも遠視でもない)と言えます。

 さてではこの近視かどうかを決定しているのは何かと言いますと、
一つは眼球の奥行きと角膜や水晶体の屈折率です。
少し難しくなってきましたが続けます。

 目に入ってきた光(映像)は、
上手く網膜に映像を映すために屈折しながら入ってきます。
つまり光がただ真っ直ぐに突入するのではなく、
角膜で1回と水晶体で1回と少し曲がって入ってきて、
映像を眼球内で一つに結びます。

 それを表したのが下の図です。

kusetuijyo.gif

 この二つの要素で、
その人が近視か遠視かが決定します。
ただ子どもの場合には、
頭蓋骨や頭蓋骨自体が成長段階のため、
この二つの要素が未知数です。

2.遠近調節と小児の近視、仮性近視

 成長段階である小児の場合、
正確に視力を測ること自体が難しいのですが、
だからといって見えない状態を放置していて良いのではありません。
まだ成長段階だからと見えないままにして、
眼鏡などの対策をしないと、
眼からの映像を処理する脳の機能が発達することが出来ず、
結局見えていても意味が無くなってしまいます。
本来であれば最終的に0.7〜1.0程度には見える状態で、
脳の発達を促す必要があるのではないでしょうか。

 単純に眼鏡が嫌だと理由だけで矯正をせず、
通常の視力の子どもであれば見えているはずの風景や細かな色合いが見えないということは、
想像以上に子どもの発達に影響を与えます。
人間は視覚から得る情報がかなり大きいため、
視覚が十分に発達しないということは、
後で取り返しがつlかない事態に陥る可能性もありますので注意が必要です。

 さて本題ですが、
眼の遠近調節は水晶体の厚みで調節をしています。
この水晶体は水晶体の周囲にある、
毛様体筋という筋肉で行います。
小児の場合、
この水晶体に柔軟性があり毛様体筋が十分に働けば、
構造上近視の子どもでもそこそこ視力が出ていることがあります。

 そのため年齢と共に水晶体の柔軟性が無くなれば、
本来の性質が出てくることになります。
これは本来目が悪くなったのではなく、
本当の状態に近付いたにすぎません。

 また水晶体で光を屈折させてはいるのですが、
実際には角膜で曲がる率の方が高いため、
幾ら水晶体で調整しようとも角膜の屈折率が高ければ、
小児といえども近視になります。

 仮性近視とは、
構造上近視ではない人間が水晶体の厚さ調節能力が低下したため、
一時的に陥る近視状態ですから、
毛様体筋の機能を元に戻せば回復します。
ただ本当の近視の人は、
調整能力を上げることで視力は上がりますが、
近視自体は治ったわけではありません。

 この違いは大きいとも小さいとも言えますが、
調整能力で上がる幅はそう大きくはありませんので、
近視が治るほど大きな効果は出ません。
また調整能力を上げただけですので、
治療を中止すれば視力は元に戻ります。

3.まとめ

・近視は病気ではありません。
・仮性近視は治りますが、近視は視力は上がりますが治りません。
・小児の場合、近視が仮性かどうかは成長が終わるまで分かりません。
・視力はどちらにしても上がりますが、学校生活や私生活に影響が出るほどなら、
 矯正をお勧めします。
・仮性近視の場合には比較的早期に効果が出ますが、
 近視の場合には多少の改善はしますが、
 成長と共に視力の低下はあるでしょう。
・ただ視力の低下を最小限にしたり、
 視機能自体の向上には鍼灸治療は効果的です。
 勿論仮性近視の場合には速やかに改善をします。
・当院の小児の鍼灸治療は痛みを殆ど伴いませんので、
 幼稚園児にも受けて頂いています。