収録記事
トップ
眼科疾患
トップ

小児の仮性近視と近視について

 小児の視力測定では、
なかなか正確に視力や視機能を測ることが出来ません。
また高い調整力が働くため、
本来の屈折力を反映しないこともあります。
小児の視力測定や仮性近視などの問題を考えてみましょう。

1.近視とは?

 そもそも近視とはどういうことでしょうか?
当然の事ながら近視とは単に見辛いということではなく、
眼球の形状の問題により焦点が網膜上よりも前方にきてしまうことです。

 つまり目に入った光(情報)が網膜(眼底)よりも前で焦点があうため、
その後方にある網膜ではぼやけてしまうことになります。

kinshi_1.jpg

2.眼の調整力

 一般的に眼で何かものを見るときには、
遠近の調節は自動的に行っています。
この遠近の調節は眼の中の水晶体の厚さで調整していますが、
この水晶体の厚さを変化させるのが、
水晶体に連なる毛様体、毛様体筋です。

chousetsu.jpg

 毛様体筋は収縮しっぱなしだと疲労し固くなります。
毛様体筋が収縮すると水晶体が厚くなり、
ピントが手前にくるようになりますので、
近視傾向が強くなります。

 逆に言うと毛様体筋の緊張を解くと、
ピントが少し奥に合うようになります。
つまり近視傾向が緩和されることになります。

3.子どもの調節力

 子どもは調節力が非常に高いため、
元々持っている近視や遠視を調整することが出来ます。
但しこれは本来持つ近視や遠視が治ることとは違います。

 調節力でカバーしているだけですから、
近視(構造上の近視)の子どもでもかなり見えてはいますが、
日々かなりの疲労を感じていることでしょう。

4.仮性近視とは

 仮性近視は、
本来の構造的な問題での近視ではなく、
調節力が衰えたことによる近視です。

 そのため調節力が戻れば簡単に近視は治ります。
ただ上でも書いたように、
本当の近視でも鍼灸治療などで高い調節力が回復すれば、
近視傾向が薄まることはあります。(視力が上がります)

 その場合高い調節力がなせる技ですので、
恐らく治療頻度が減って調節力が落ちたり、
成長と共に眼球の形が更に変化すれば、
本来の近視が現れることになると思います。

5.小児の視力測定と近視、仮性近視

 まだ成長期である幼小児の場合、
頭蓋骨や眼窩(眼のくぼみ)、眼球の大きさなどが変化するため、
仮性近視との鑑別が難しい場合も多々あります。

 また調節力が高いために眼球の形の影響を受けにくく、
近視が視力に反映されない場合もあります。
その場合には正確に判断するために、
瞳孔を開く点眼を行い、
本来の眼球の形状による屈折力を測ります。

 この点眼には長期間(3〜5ヶ月)使用して検査を行うものと、
一時的に強い作用を持つ点眼を行い検査するものがありますが、
一般的には前者が多いようです。
この辺りも十分な説明がなされない場合があります。

 小児眼科で最も多い問題点は、
医師と患者(保護者)が十分にコミュニケーションが取れていないこと。
親は子どもの将来に関わることで必死なのですが、
医師は毎度のことであまり熱心に説明しない。

 その場合には医師への不信感から、
十分に検査が行われていないのではないかとか、
治療が適切でなかったせいで近視になったと親御さんは仰います。

 ただ仮性近視の場合には眼球云々は関係ありませんので、
鍼灸治療をすればいつでも速やかに効果が現れます。
本来の近視の場合には、
調節力の増加により視力は上がったように見えますが、
時間と共に視力の低下が起こります。
 
 これは本当は視力の低下ではなく、
本来の眼球由来の近視が現れたということです。
この場合には眼鏡による視力の矯正が必要になります。

  そのため特殊な場合を除けば、
適切な治療をしなかったせいでの近視ではなく、
あくまでも先天的な要因が大きいと言えます。
但し見ると言うこと自体は、
最終的には目で見た像を脳で判断するまでを言いますので、
視力トレーニング自体は有効に働く可能性はあります。

6.まとめ

 どの診療科目でも同じですが、
自分の身体の状態を正しく理解するには、
検査機器だけでなくそれを解析する人間と、
それを如何に分りやすく患者に伝えるか、
更に如何に正確に患者側が理解するかです。

 医師や専門家から説明を聞くときには、
出来るだけ疑問はその場で解決するか、
後になってでも理解出来るまで聞くことが大切です。
十分な説明を受けることが出来ない眼科では、
納得をして治療を受けることは出来ませんので、
自分で納得がいかなければ転院なども考慮しましょう。

 ただいたずらにドクターショッピングにならぬよう、
冷静な判断も必要ですのでご注意を。