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肝機能と不妊・不育

 肝臓と妊娠の関連なんて、
あまり気にする人はいないのではないでしょうか?
でも実際には非常に密接なことがあります。
その理由とは....

1.肝臓の働き

・解毒

 アルコールの分解は勿論のこと、
それ以外の薬やホルモン剤なども無毒化します。
この働きが落ちれば、
薬剤による副作用も起こりやすいと言えます。

・消化酵素の生成

 脂肪を乳化する胆汁の生成を行います。

・炭水化物の代謝

 消化吸収された炭水化物を脂肪酸に変えたり、
タンパク質からブドウ糖を作ったりします。

・脂肪の代謝

 消化吸収されたカイロミクロンの処理や、
回収されたコレステロールなどの再合成なども行います。
コレステロールは細胞膜やステロイドホルモンの元になり、
女性ホルモンや男性ホルモンにもなります。

その他、

・タンパク質の代謝
・アルブミンの合成
・グリコーゲンの貯蔵・ブドウ糖の合成
・造血
・蔵血
などなど500種類の働きがあります。
人体では最大の化学工場と言われています。

2.肝機能と不妊

 肝機能が低い人は、
体内でものを作り出す能力が低く、
不要なものを分解したり無毒化する能力も低くなります。

 当院での観察でも、
低コレステロール気味の方では、
体外受精や顕微授精の結果が思わしくない人が多く、
同様にGPT、ALP、総蛋白なども同様の結果が出ることがあります。

 普段は殆ど気にすることのない肝機能関連の低値も、
当院では重要な指標の一つになっています。

3.肝機能と不育

 不育症の方の中には、
プロテインSが低い方がいらっしゃいます。
このプロテインSが低い方は血栓を作りやすく、
そのため流産を起こしやすくなります。

 プロテインSは肝臓で作られるため、
肝機能障害があるとプロテインSを作る能力が低下します。
先天性欠損以外では、
肝機能を回復させることでの効果が得られるかもしれません。

 この辺りはやってみないと分からない部分もありますが、
肝機能と不育との関連は非常に興味深いものですので、
今後の治療経過も踏まえて継続して研究する必要があります。