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培養液の良し悪し

 よく高度生殖医療を行う病院の評価で、
「あの病院は培養液が良い。」
というのを聞きます。

 培養液の良し悪しは着床や妊娠に関係するのでしょうか?
その根拠とは?

1.培養液の役割とは

 培養液とは、
体外受精や顕微授精で採卵した卵子を、
受精後に胚移植するまでの間培養を行う液体のことです。
この培養液の良し悪しにより、
胚の分割を始めとして、
着床率や妊娠率に大きな差が出るといわれています。

 そもそも自然界で卵子は、
卵胞の中で卵胞液という液体に浮かんだ状態で存在します。
その時卵子は、
この卵胞液から直接栄養を供給されていると考えられます。

 排卵後は透明体を介して様々な物質を卵管内で交換し、
受精すれば分割をしながら子宮に到ります。
(受精してからは栄養供給は一時的に行われません)
そこで諸条件が整えば着床、妊娠となるわけです。

 この物質交換が出来るか否かが重要で、
様々な栄養物質や成長促進因子などをやりとりしながらでないと、
受精卵の成長は行われないのです。

 つまり培養液にこれらの物質(栄養や成長促進因子)が含まれていて、
物質交換が行いやすい環境であることが重要です。
また感染予防のための抗生物質が含まれていたり、
酸化ストレスを防止するための酸化防止剤や抗酸化物質が含まれていたりします。

 培養液の質は、
上に書いたような成分の比率や量などで決まり、
恐らくはこの微妙な配分がスムーズな胚分割や劣化予防に働くのでしょう。

2.追加

 この培養液に関連する話として、
シート法と卵管内移植(GIFT・ZIFT・EIFT)があります。

 シート法は最近多くの不妊病院で行われ、
受精卵を分割させたときに使用していた培養液を子宮内に戻し、
分割の際に分泌されたであろう物質の作用で、
着床率を挙げる方法です。

 まず受精卵を胚分割した際に使用した培養液を、
受精卵を別々に凍結保存します。
その後胚移植をする際に、
受精卵を戻す数日前に培養液を先に子宮内に戻します。
その後胚盤胞にした受精卵を子宮内に戻します。

 この方法で有意に着床率の差が出るようです。

 さらに卵管内移植ですが、
これは培養液中での受精や受精卵の分割により、
自然な成長が阻害されるとの概念から、
あくまで卵管内で受精や分割をさせようという考え方です。

 九州の某病院が有名ですが、
その他多くの病院では現在行われていません。
これは卵管内に戻す手術が必要であることや、
培養液の質の向上、
胚盤法移植や二段階移植などの新しい方法が開発され、
着床率が挙がったためだと考えられます。

 個人的には、
卵管内での成長が培養液中の成長よりも良くなるには、
培養液以上にその人の卵管内環境が良い必要があると思います。
そのため現在の生殖技術を考えると、
必ずしも卵管内移植の優位性は顕れないように感じます。

 或いは卵管内移植を成功させるためには、
かなり健全な身体を前もって作っておく必要があるだろうと思います。
疲れきった肉体では、
培養液に負けてしまうのではないでしょうか?

3.さらに考えると

 培養液の良し悪しで着床や妊娠が変化するなら、
体内の環境はもっと大事なのではないでしょうか?
排卵(採卵)前の卵胞液中の卵子は、
成熟するために必要な栄養を卵胞液から取り入れます。

 この卵胞液は口から入れた栄養が回り回って出来たのですから、
口から入れる栄養がどんなに重要なものかわかります。

 鍼灸治療や栄養療法を受けている患者さんが、
今まで体外受精をしても中々妊娠しなかったのに、
思いがけず自然妊娠したりするのはそのせいでしょう。

 培養液の良し悪しを気にするなら、
もっと体内環境にこだわってみるべきです。