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薬とリスク

 薬という字は元々治療を意味する、樂(療)からきていることもあり、植物を意味する草冠と相まって、野草などで治療することだったのでしょうが、現在はそれとはほど遠い存在になっているように思います。 

 アメリカの医学生の教科書では、

「薬は出さなくて済むのなら出さない方が良い。
 もし出すのならなるべく少ない方が良い。」

と書かれています。

 しかも4種類を超えて出されている薬の作用は、相互作用もあるためにその効果を計り知ることは不可能だと書かれています。
日本では現在慢性疾患に罹っている人や、それほどひどくない状態でも老人などは複数の薬剤を処方され、その作用や副作用は誰も予想できないほどの状態となっています。

 中には肺の病気で処方される薬の副作用が肺疾患を引き起こしたり、鬱病の薬の副作用が鬱病だったりと、どこから効いていてどこから副作用なのか判断に迷うようなものも少なくありません。 
 つまり薬の持つリスク管理を、患者さん自身でする必要があるということです。

 世界にはエッセンシャルドラッグという標準薬があります。
これは元々WHOが開発途上国や医療のレベルの低い国のために、世界の基準となるべき薬を決めようという働きかけで、より低いコストで最大限の効果を出すために世界の医師が厳選に厳選を重ね、現在312種類の医薬品を世界の標準治療薬として認定しました。
 これに対し医療(費)大国日本では、現在商品名で17000種類、成分数で2400種類の薬剤が販売されています。

 しかし残念ながら先の世界の標準治療薬312種類の全ては網羅していません。 
世界の医師が認めた薬であるたった312種類が揃わないのに、2400種類の薬が溢れ、毎年30〜50の新しい薬が認可されているのです。
 皆さんはこの現状をどう考えますか? 
この問題点を「世界のエッセンシャルドラッグ」を日本語に翻訳された浜
六郎医師は、 

1.医学教育の問題点

 診断学重視で治療学を学ばない教育制度のため、短絡的に薬と症状を結びつける不適正な処方が当たり前になってしまった為。


2.宣伝と薬の乱用

 製薬メーカーの行き過ぎた宣伝や販売活動のため。


3.薬価差益と医薬分業

 日本では医薬分業が長い間行われなかった為、処方箋から薬の調合まで自分で出来た。
これが薬価差益による利益を生み、悪徳病院だけでなく一般の病院まで薬価差益による利益に依存することになり、薬価差が大きな薬剤を選ぶようになった。
また多剤投与や長期に渡る投与の温床となった。

と問題点を挙げています。

 最近は医薬分業を唱えて院外処方となりましたが、これはあくまでも厚生労働省の医療費削減という名目だけの為で、患者さんの為に処方を減らしたり、適正な薬剤の投与を目的としているのではありません。
ということは、やはり私たち自身が薬の適正な使用についての知識をある程度つける必要があります。

 自分の子どもや家族が薬の副作用に苦しむ姿を見たくなければ、自分たちが病気にならない努力をし、さらに薬というものの本来の姿を知っていくしかありません。


<参考文献>

世界のエッセンシャルドラッグ
三省堂浜六郎・別府宏圀 訳