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アトピー性皮膚炎(完全版)

 非常に治りにくいアトピー性皮膚炎。
鍼灸治療を始めとして、
様々な治療法が出ては消えていくこの疾患。
この難症であるアトピー性皮膚炎の全てをまとめてみます。

1.アトピー性皮膚炎とは

 私が認識するアトピー性皮膚炎とは、
アレルギー疾患ではありません。
あくまで先天的な要素と後天的な条件が重なり、
そして絡み合いながら難症の成人アトピー性皮膚炎になっていきます。

 先天的な要因とは、
まず一番の要因が先天的に皮膚が薄く脆いということ。
薄く脆い皮膚を体質として(遺伝として)持っているお子さんは、
少しの刺激にも表皮が傷付きやすく剥がれやすい。
そのため少しの接触刺激にでも皮膚が剥がれ、
炎症を持ちやすくなります。

 炎症を持った皮膚はヒスタミンの放出などから痒みを出し、
自然に伸びた手に掻かれることで更に皮膚の剥離、
更に炎症と悪循環になっていきます。

 乳児から幼児期のアトピーでは、
ここで一つの分岐点があります。
それは小児アトピーにステロイドや投薬を行うかどうか。

2.小児アトピーの投薬について

 個人的には小児アトピーへの投薬は、
必要最低限にすべきだと思っています。
では必要最低限の量ですが、
基本的に飲み薬は必要ありません。
これはその他の病気でも同様ですが、
小児は免疫の発達の為に経験を積む重要な時期です。

 この時期の免疫反応を制限することは、
その後の人生において非常に大きなリスクを背負うことになります。
胎内から生まれ落ちて以来、
少しずつ色々な異物との戦いを経て積み上げている経験値を、
安易な投薬で台無しにしてはいけません。

 但し夜も眠れないほどの掻きむしりや、
炎症による発熱などがあるようなら、
場所と期間を限定でステロイド軟膏を使用することは賛成です。
意外かもしれませんが、
限定しようで生活のクオリティを上げることは、
子どもの成長には重要なことなのです。

 寝る子は育つと言いますが、
痒みで眠れない子どもにするくらいなら、
限定しようで使ってあげましょう。
但し痒がったら直ぐに塗るのではなく、
保湿剤の上から点状に少量塗るくらいで十分です。

 小児の頃からステロイドを常用していると、
本来副腎皮質ステロイドを作っている副腎が萎縮してしまい、
働きが低下してしまうからです。
ステロイド軟膏は、
人が副腎で作るホルモンの数十倍から1000倍程度の濃度があることもあります。

3.食事とアトピー

 食事の影響があることは皆さんもご存じでしょう。
当然ながら授乳期ならお母さんの母乳も影響を与えますので、
お母さんの食事も要注意です。
駄目なもの一覧です。

・植物性油を大量に使うもの
 マヨネーズ、マーガリン、揚げ物、スナック菓子
・繊維や灰汁(あく)のきついもの
 竹の子、ゴボウ、
・甘いもの
 大量の砂糖を使ったもの
・酒、たばこ

 またよく言われるのが離乳食です。
離乳食が早い子どもは食物アレルギーになりやすいと言われます。
これは腸管が未発達な子どもに分子量の大きな食べ物(主にタンパク質)を与えることで、
腸管でアレルギー反応が起きやすいからだと言います。

 但し注意すべきは、
食物アレルギーとアトピーは別物だと言うことです。
確かに食物アレルギーの子どもでも湿疹が出ることはありますが、

 食物アレルギー=アトピー

ではありません。
あくまでもアトピーは先天的な皮膚の弱さが主たる原因で、
そこに湿疹が出ることで治り難いと言うことはあるでしょう。
これはある程度分けて考えるべきです。

4.水とアトピー

 成人アトピーの患者の中には、
東洋医学で言う水毒症(すいどくしょう)と呼ばれる患者さんがいらっしゃいます。
水毒症は水分代謝が上手くいかない方のことで、
原因は様々ですが、
舌が浮腫んで歯形が付いていたり、
便の異常や独特の体臭を発していていたりします。

 こうした人の中には、
様々な水を飲む民間療法に嵌ってしまった方が少なからずいらっしゃいます。
昔なら強酸性水、
今なら水素水辺りでしょうか?
こうした水を過剰に飲んでいると、
水分代謝の障害から湿疹が出やすくなったり、
アトピーが悪化する方がいらっしゃいます。

 元々アトピーの方はお腹が弱い人が多く、
幼児期から便秘や下痢に悩まされています。
そうした人が大量の水を飲むと、
立派な水毒症になってしまいます。

 水は1日1.5Lで十分です。
この1.5Lという数字は飲食物全ての総量ですから、
実際に1.5Lの水を飲むと言うことではありません。
そう考えれば実際に飲む量はかなり少ないことが分かります。
アトピーの方は元々汗も掻きにくい為、
出来ればお腹がチャポチャポ言うまで飲んではいけません。

5.成人期のアトピー

 幼小児期の治りやすい時期を逃すと、
アトピー治療の難易度は一気に跳ね上がります。
何せ生活のリズムや飲食なども自分勝手に出来る。
食べたいときに食べたいものを食べれる訳ですから、
親が制限していた子どもの時と違い、
余程高い志が無ければ治療は成功しません。

 特に精神的ストレスから来る自律神経失調症は、
免疫バランスを簡単に乱れさせてしまうため、
炎症が引きにくい湿疹が出やすい身体にしてしまいます。

 成人期のアトピーにとっては自律神経こそ最大のキーポイントなのです。
昼動いて夜寝るという当たり前の生活が、
自律神経を正常に動かす一番の薬です。
これが出来ない時点で、
成人アトピーの治療はかなり困難です。

 このリズムを作れるかどうかと、
投薬を如何にコントロールするか。
この二つが出来れば成人アトピーは治ります。

6.アトピーの鍼灸治療

 小児アトピーの場合には、
時間を掛ければ鍼灸治療無しでも治癒は可能です。
実際私の子どもは4人とも鍼灸無しで治っています。
そもそもは出ないのが一番ですが、
体質的に持って産まれたものは仕方ありません。
成人アトピーになる前に完治させれば良いんです。

 成人期の場合には、
先に書いた自律神経の調整は欠かせません。
また投薬の管理とお腹の弱さの克服。
この辺りを鍼灸治療と共に行います。
非常に複雑で時間が掛かる治療ですので、
常に情報交換しながら諦めずに治療を受ける必要があります。
 
 基本的には全身治療で弱いところを強め、
強すぎるところを正してあげる。
熱があるところは抜いてあげて、
痒みが強いところは痒みを鍼灸で出来るだけコントロールしてあげる。
これを減薬しながらやるのですから、
非常に難しいのです。

 でも終わりが来ると信じて治療を続けます。

7.その他の治療法とアトピー

・漢方薬
 強い炎症には良いこともあります。
 処方が合うかどうかが決め手。
・サプリメント
 症状が一時的に強まることもあります。
 治りが早い反面症状の一時的な悪化は劇的なことがあるため、
 成人には少量使用しかお勧めしません。
 高価なものは必要ありません。
・その他健康食品
 色々なものがありますが、
 根拠があるものはありません。
 お勧めはしません。

8.成人アトピーは本当に大変

 東洋医学的には脾虚がベースで中焦の気が作れず、
その結果肺気が足りないことで衛気が作れない方や、
元々先天的に肺気が弱く衛気を巡らせることが出来ない方。
或いは腎陽虚で肌の潤いが無い方。
肝鬱気滞で痒みが起こりついつい掻いてしまう方。

 こうした色々な原因を見分けたり、
複数の要因を一つずつ強いものから剥がしていったりと、
本当に成人アトピーの治療は手間が掛かります。
中には疑心暗鬼で誰も信じることが出来ない人。
怪しい治療を渡り歩いてすっかり身体が壊れている人。
それでも信頼関係を築いて治療が出来れば、
成人のアトピーも必ず治ると信じています。