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アトピーとステロイド考

〜ステロイドの正しい理解と使用〜

 最近はステロイドが怖い薬だということだけは一般の人にも伝わりましたが、それでは実際にアトピーにおけるステロイドとはどう考えるべきなのかをもう一度考えましょう。

炎症とステロイド

 皆さんは炎症の本来の働きを知っていますか?
炎症というと、赤くなって、熱があり、腫れて、痛む、というのが特徴ですが、これは傷ついた組織を修復するために必要な働きで、これが起こらないと組織の修復はスムーズに行われません。 
 ということは、アトピーで起こる皮膚の赤みや痒み、憂鬱な浸出液も、傷ついた皮膚を再生させるシステムの一部であるということです。
 そこでステロイドは何をするかと言えば、この炎症の症状である血管の拡張を鎮め(血管収縮)、痒みの元であるヒスタミンを抑制し、炎症反応が起こっていることを脳へ伝えなくしてしまいます。
 となると症状は治まりますが、どうしても正常な修復は行われなくなります。


免疫の発達とアトピー

 私たちの免疫は、産まれてからいつも一定の働きをしているわけではありません。
私たちの免疫が完全に機能できるようになるのは、大体15〜20歳くらいになってからだと言われています。
 つまりそれまでの間は、ある程度免疫機能自体が働かなくても仕方がないのです。
またそのことから考えると、成人になって免疫が正常に働き出すまでは、人間が本来の免疫を獲得するための修業時代のようなものです。
 ではこの時期に外から与えられた免疫作用を持つ薬剤を与えると、一体その子どもはどうなってしまうでしょう。
いつまでもその免疫機能は完成することもなく、過剰であったり未熟であったりするのではないでしょうか?


2種類の免疫

 私たちの身体の中は、生体防御系という機能で異物からの侵略や体内で出来る異常な細胞から守られています。
この生体防御系の基本はマクロファージという細胞で行われますが、このマクロファージは進化の過程で大きく顆粒球とリンパ球という二つに分かれました。             
 この二つは互いに違う特徴を持ち、年齢に応じてその割合を変化させながら、免疫を機能させています。
簡単に表にすると、

顆粒球リンパ球
出生後1週間は優位となり、その後低下し再び上昇1〜4歳でピークとなり、15〜20歳で顆粒球とほぼ同数
交感神経支配副交感神経支配
過剰になると胃潰瘍
潰瘍性大腸炎・癌・膠原病
過剰になるとアレルギー疾患

となります。
 この表を見て分りますか?
つまり1歳から4歳くらいまではリンパ球が特に過剰な時期であり、この傾向は15〜20歳までは続くんです。
この時期にアレルギー疾患が多いのは、ある意味身体の働きとしては当然であるとも言えます。
 小児アレルギーが放っておいても治っていく課程は、こういったことからも説明できますし、逆にこういったことを知らずに薬などで調節しようとして、成人アレルギー疾患に移行するのも頷けます。

 またリンパ球が副交感神経支配であることから考えると、ここ20年来アレルギー疾患が増えてきている背景には、交感神経を緊張させることが以前よりも少なくなってきていることも関係しているようです。
 交感神経は日中身体を動かすときに活発に働きます。
小児アレルギー疾患の方は、日中汗をかくこともなく屋内でゲーム三昧の子どもも多いでしょう。
こういった子どもはまず日中に十分身体を動かすことから始めるべきで、薬が第一選択ではいけません。

 また副交感神経が優位に働く夜間は、元々体内で分泌されるステロイドの量が最も少ない時間帯でもあるのです。
だからといってステロイドを夜間に外用剤で補ってしまえば、ますます身体のバランスを崩してしまいます。
 ステロイドをどうしても使いたいなら、最も分泌が盛んな午前8時頃に行い、日内リズムをそれ以上狂わせないようにしましょう。

まとめ

1.ステロイドは第一選択すべきではない。(当たり前)
2.アトピーはリンパ球優位の時期を過ぎれば自然に治るものである。              
3.日中は身体を動かし交感神経を緊張させよう。
4.どうしてもステロイドを使う場合には、少量を午前8時に使う。

※ステロイドは弱いレベルのものでも、皮膚内に存在するものの約1000倍の強さがあるのです。
それでも使い続けますか?