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中医学的ステロイドの解釈と腎陽

 ステロイドは中医学では純陽を補う薬であると言われています。
純陽とは全ての身体の働きの元となる働きを持っています。
 陽気には身体を温める働きがありますので、ステロイドを服用している患者は陽気が一時的に非常に強くなります。
但し外部から陽気を強引に補っているのですから、陽気だけが過度に補われた結果、陰陽のバランスは崩れ、顔が赤く腫れてくるムーンフェイス(満月様顔貌)や喉の乾きなどの副作用が起こります。

 東洋医学的には脈診で特にその変化を見ることが出来ます。
ステロイドを使った初期には脈が大変浮いてきて、身体の中に陽気が増えていることを表しますが、連用すると次第に陰虚となり熱が増えだし、さらに連用すると陰陽共に無くなり、身体が冷えたり慢性の身体のだるさを訴えます。それに伴い脈も沈みがちとなったり渋ったりします。

 陽気の元となるのは腎陽ですから、腎陽の低下が最終的には問題となってきます。
これは同じように腎陽虚を呈するような、膠原病の患者さんにも同じようなことが言えます。
リウマチの患者さんでも程度の差はあれ、陽虚の傾向が見られることがしばしばあります。

 これは特発性間質性肺炎の患者さんでも同じように診られましたので、ステロイドを服用したり塗布したりする疾患には症状の出方や軽重はあれども、ある程度関係するように思います。

 鍼は熱を抜くのに適していますから、どうしてもそういう手技に走りがちですが、温補の鍼もありますし、灸が古来からリウマチに使われてきた側面を考えると、これからのアトピー治療では灸の持つ意味も考える必要があります。

 陽虚が強い患者さんで、ステロイドを連用していない患者さんの中には、温灸のみで非常に高い治療効果を示す人がいらっしゃいます。
特に小児アトピーで冷え性(手足の冷えや寒がり)、じっとりした汗はかくのですが、肌が乾燥していて外気温の変化に弱い子供には効果があります。
 特に小児の場合ステロイドの連用を避け、上手な保湿と体温管理(汗の管理※1)、そして鍼灸で対応すればアトピーのひどい乾燥肌から脱出できるでしょう。


※1:小児アトピーの子供は発汗が常にあり、どうしても身体から熱が奪われますので、常に清潔な乾いた下着を着けさせ、熱を奪われないように気を付けましょう。