収録記事
トップ
アトピー
トップ

皮膚の再生とスキンケア

〜皮膚の再生〜

 スキンケアを考える上で、皮膚の再生がどのような過程で行われるかは
非常に重要です。アトピー性の皮膚炎や湿疹に限らず、傷ついた皮膚は同じような過程で修
復していきます。                         

 まず皮膚には真皮と表皮があることは皆さんもご存知でしょう。
表皮は体表を覆っている部分で、皆さんが一般的にいう皮膚のことです。
真皮はその下にあり、この真皮こそが皮膚再生の鍵であるのです。
 この真皮は非常に丈夫な組織で、血流が豊富なため滅多な事では死にませんし、感染にも非常に強いのです。
    

 但しこの強い組織である真皮にも弱点があります。
この真皮は非常に乾燥に弱いのです。
ということは皮膚を再生する秘密は、この乾燥を防ぐことにあるということがいえます。

 皮膚を湿潤な状態にしておくという意味でも重要なのは、アトピーでもよく見られる浸出液の存在です。この浸出液は感染症などで見られる、いわゆる「膿」などではなく、皮膚の細胞が再生する際に必要な物質を含んでいるものなのです。

 さていよいよ本題ですが、傷ついた皮膚が再生するときには、

・血小板が集まってくる
・好中球やマクロファージが集まってくる
・繊維芽細胞が集まってくる
・表皮細胞が傷の表面を覆う 

と簡単に書いてもこれだけの過程が必要です。
これらの細胞を呼び寄せいている張本人が、あの浸出液の中に含まれる、「細胞成長因子」なのです。 今まであの浸出液を悪者だなんて思っていた人は、思い直してください。
あの忌まわしく感じる浸出液こそ、傷ついた皮膚を再生する上ではなくてはならない存在なのです。   


〜スキンケア〜

 さてここからがスキンケアのお話です。              
先ほど皮膚が湿った状態、浸出液が出る状態の重要性を書きましたが、スキンケアのお話もここからの発展が必要です。
スキンケアで最も重要なのは、保湿であるといっても良いでしょう。  
 中には強酸性水などでの殺菌をスキンケアだと考える人もいるかもしれませんが、現在強酸性水の殺菌の有効性には少々疑問もありますし、感染症を心配するなら水でマメに洗い流した方が効果的でしょう。
元々強酸性水は保存が利きませんので、作ったその場で使ってしまう必要がありますし、皮膚の消毒自体が結構無意味だとも思わなくもないです。

 スキンケアにおける保湿ですが、この保湿には次のような効果があります。                               

1.皮膚の温度を保つ
2.PHの低下
3.低酸素

 これが効果かと思う人もいるでしょうから、順に書いていきましょう。
 1.の温度については、好中球などの異物を貪食する細胞が、比較的温度が高い環境で働くため、皮膚表面に薄いバリアーがないと活性化出来ません。
 また創傷治癒に中心的な存在であるマクロファージも、体温と同じ程度の温度でないと正常に活動できません。
さらにガーゼなどで浸出液をふき取ろうとして被せると、皮膚の温度はかなり低下して25℃程度まで低下することが分かっています。
 見た目は悪いですが、浸出液が出たならそのままにしている方がいいということでしょう。                        

 2.のPHですが、傷口を開放しておくと組織のPHが呼吸性のアルカローシスとなり8前後になってしまいます。
これをしっかりとした保湿剤で覆うことで、PHを低下させることが出来るようです。

 3.の低酸素は、上皮細胞、白血球には有害に働き、血管新生や繊維芽細胞の活動には有益に働くようです。
 これら1〜3の状態から言うと、一部上皮細胞や白血球の働きは低下するものの、トータルで言うと傷ついた皮膚は保湿剤などで覆ってしまう方がメリットが多きいようです。                   

 これらのことから当院でも保湿の重要性を説き、アトピーの患者さんには十分な保湿を指導するようにしています。
当院ではこの保湿用に、当院推奨の保湿ローションを患者さん向けに使っ頂いています。