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オスグッド・シュラッテル氏病

 オスグッド・シュラッテル氏病(以下OS病)とは、
一般的に成長痛と言われる膝の成長軟骨周囲の痛みを発する、
スポーツ少年泣かせのスポーツ障害です。
一度悪化するとなかなか治らず、
スポーツ活動を長期間制限されるこの病気、
治す方法はないのでしょうか?

<OS病とは>

 OS病とは、10代前半に多く発症する病気です。
多くはスポーツ活動に熱心な子どもで、
サッカーや陸上、バスケット、バレーというような、
ジャンプやダッシュを繰り返す種目で起こります。

22-1.png

 上の図を見ると、太腿全面の筋肉が膝のお皿を通って、
脛の骨に繋がっているのが分かります。
この骨に繋がる部分の軟骨が剥がれ、
炎症を起こす状態がOS病です。

 レントゲン画像では、
飛び出している部分の軟骨が剥がれているのが分かります。

22-2.png
 

 この飛び出した軟骨は成長後もこのままですので、
成人後も膝の下がぽっこりと盛り上がった状態になります。
この部分の運動時の痛み自体は無くなりますが、
ぶつけたときの痛みは一生ものです。(経験談)

<OS病の起こる原因>

 OS病は熱心なスポーツ活動をしている子どもには、
比較的多く見られます。
程度の差はありますが、
走ると痛い程度から全く膝が曲がらなくなる子どもまで、
かなりの固有差があります。

 このOS病になるかどうかは、
運動の激しさや要素以外にも幾つかあります。
それらを改善することが、
OS病を正しく理解し治療することに繋がります。

1.膝の固さ

 OS病の子どもは、
大腿四頭筋が固く収縮したままの状態の子どもが多く見られます。
これはOS病を発症したことで膝が深く曲げられず、
太腿の前側の筋肉が伸ばされていないことと、
元々身体のケアが出来ておらず筋疲労が取れていないことによります。
大腿四頭筋に限らず、
筋疲労は早めに取るようにしましょう。

 強く痛まない程度のストレッチや、
施術としてのパートナーストレッチなどを心掛け、
早目に治療にかかることも必要です。

 重症化する前に対処することが大事なのは、
どのスポーツ障害でも同じ事です。

2.股関節・足関節(足首)の固さ

 膝の機能を左右するのは、
実は骨盤周囲の可動性や筋肉の機能であることは、
案外スポーツ指導者でも知りません。
特に股関節周囲の可動性は、
膝の機能に非常に大きな影響を与えます。

 股関節が固い子どもは、
膝だけでなく腰や足首などの障害に悩まされます。
そしてそれを改善しなければ、
膝や腰の痛みが改善することはありません。
最悪気付かないままスポーツ活動を引退することになります。

 足首の柔軟性も同様で、
下肢帯と言われる骨盤から足先までの一連の連動運動が、
丁度中間地点にある膝のパフォーマンスを左右するのです。
膝の障害で膝だけを治療していては、
膝の状態を改善することは出来ません。

 大きな力の流れを考えることで、
今まで改善不可能だった症状を改善することが出来るのです。

3.ダイナミックアライメント

 これは聞き覚えのない言葉でしょうが、
いわゆる静的なアライメントである姿勢などではなく、
動きの中で各関節がどういう位置にあり、
力を伝えているかということです。

 例えばジャンプの時に膝がどのくらい曲がっていて、
膝と足首や足先との位置関係はどうで、
骨盤の位置はどこにあり、
腰椎の角度はどうであるかということです。

 良い画像が無かったので撮りましたが、
ちょっと分かりづらいでしょうか。

1.jpg

 こちらの画像では、
上半身が適度に曲がっており、
膝の位置が前過ぎず頭の位置も中心位置に近い感じです。

2.jpg

 それに対してこちらの画像では、
全体に重心位置が後ろであるにも関わらず、
膝だけが前にあり、
膝の前面にかなりの負荷がかかることが予想されます。

 実際にこの格好をして貰った先生の話でも、
膝や太腿の前側にかなりの負担を感じるようです。

 また先の画像では背骨全体が伸びているのに対して、
後の画像では背骨全体が緩んでおり、
全体のバランスの悪さを背骨の曲がりでカバーしているのが分かります。

 この力学的に不都合な姿勢を、
基本姿勢や動きの中で繰り返すと、
OS病にはなりやすいということです。

<OS病の治療>

1.アイシング

 OS病にとって一番簡単で効果のある治療法は、
アイシングです。
アイシングは氷嚢と氷水を使用しましょう。
アイスノンや冷えピタ、湿布ではいけません。

 氷水でしっかりと冷やすことで、
炎症を抑えて血行障害を取り除くことが出来ます。
但し寒い戸外でやるのではなく、
暖かい室内でしっかりとアイシングをして、
その後の血流改善を行いましょう。

2.テーピング、装具

 OS病に案外効果が高いのがテーピングと装具です。
出来れば両方行うことが理想的です。
テーピングの方法は専門家の指導を受けて下さい。

3.ストレッチ

 ストレッチは大腿部前面だけでなく、
股関節周囲も入念に行います。
股関節は内開き外開きだけでなく、
捻りも加えて特に入念に行う必要があります。

 また腰の周囲も前屈、後屈、左右の捻りなどを行い、
しっかりと柔軟性を高めて下さい。

4.トレーニング

 膝が痛いときにトレーニングは如何にも痛そうですが、
膝に痛みを感じない範囲でしっかり行うことで、
現在の痛みだけでなく将来的な障害も予防することが出来ます。

・ハーフスクワット

 難しく考えずに椅子に座る要領で行います。
出来れば少し高めの椅子に座る要領で、
膝の角度が90度以上ならず、
膝がつま先よりも前に出ないように行います。

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 トレーニングの時には、
意識を股関節の曲げ伸ばしに集中し、
敢えて膝を意識しないように行います。
太腿の裏側を意識しても良いでしょう。

・片足ヒップアップ

 足を組んだ状態でヒップアップを行います。
大殿筋を鍛えることで股関節を安定させ、
膝に掛かる負担を軽減させます。

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・片足ヒップアップの姿勢からの引きつけ

 片足ヒップアップの状態から、
立てた膝をお腹側に引き付けます。
腸腰筋のトレーニングにより股関節を強化します。

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・横臥位での足の上げ下げ

 横向きに寝た状態で足の上げ下げをします。
その際膝は曲げておきます。
中殿筋を鍛えることで股関節、体幹を安定させます。

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 これらを筋疲労を感じる程度まで行います。
あまりにも強い疲労を感じることはありません。
膝に痛みが出ない範囲で行い、
出来ればバンドなどをした状態で行いましょう。